この連載では、アウンコンサルティングの現地駐在員による、日本・台湾・香港・タイ・シンガポールでのマーケティングに役立つ現地のホットトピックを隔週でお届けします。
筆者の周りの人たちに、写真共有サービス「Pinterest」について話を聞いてみたところ「名前は知っているけど使ったことはない」「インストールはしたものの、使い方がよくわからない」と、いった声がちらほら。
トップページは若者受けしそうなキュレーションサイトのような様相であり、大変オシャレな雰囲気で見やすいものになっていますが、筆者の周りでインタビューを取ったところ、若者たちにもPinterestは普及していると言い難いのが日本の現状のようです。
しかし、今やPinterestは特に米国で、マーケティングツールの1つとして地位を確立しています。今回は日本から、海外で実施されているPinterestを使ったマーケティング手法についてお伝えします。
Pinterestとは、その名の通り写真に“ピン”を立てること。いわばお気に入りと言ったところです。ピンを立てた写真や画像は、クリッピングされていきます。
カテゴリもさまざまあり、「インテリア」「レディースファッション」「ウエディング」など、特に女性が好きそうなカテゴリが、オシャレな写真付きで画面に表示されます。もちろん「メンズファッション」など、男性向けのカテゴリも存在しています。
お気に入り写真にピンを立てて収集、また、ユーザー同士でフォローすることができ、情報がいち早く入ってくることもPinterestの特徴です。また、写真をタップすることで、その企業のサイトへ飛んだり、情報サイトへ飛んだりすることもできます。
同じく写真を主としているSNSといえば、Instagram。Pinterest とInstagramの違いは、Instagramは個人が使用しているケースが多く、PinterestはBtoC向けであり、どちらかと言えばビジネス寄りであることが大きな違いではないでしょうか。
日本での普及はまだまだと言ったところである、Pinterest。各国・地域ではどれほど普及しているのでしょうか。
Pew research center発表のデータによると、米国のインターネットユーザーが使用しているSNSは、Facebookが1番多く、次にLinkedIn、その次にPinterestがランクインしています。驚くべきことに、日本でも大変人気があるTwitterやInstagramよりも、Pinterestの方がユーザー数が多いのです。
また、eMarketer発表のデータによると、2015年現在、米国のPinterestユーザー数は4710万人。そして、2019年にはそのユーザー数は5930万人に到達すると予想されています。
2015年の男性ユーザー数が790万人に比べ女性ユーザーが3920万人と、女性のユーザー数が約5倍も多くなっています。やはり、女性への訴求率が高いことも、このデータからうかがい知ることができます。
また、we are socialが発表したデータによると、アジアでは次のようになっています。
日本同様、アジアでPinterestの存在感はまだまだのようですが、やはり日本は突出してPinterestのユーザー数が少ないようです。今回ご紹介した中では、タイやフィリピンである程度のユーザー数がありますが、Facebookのユーザー数に比べたらその数は相当少ないこともうかがい知ることができます。
STEEL HOUSEの調査によると、Facebookユーザーの33%が、広告やニュースフィードなどを見て商品を購入したことがあるのに対し、Pinterestユーザーの59%が、Pinterestを通して商品を購入したことがあると答えています。
このように、Pinterestの購入率がFacebookより高いのは、なぜなのでしょうか。
有形商品を例に取ると、Pinterestでは実際に商品の写真を載せることができ、商品をアピールすることが可能です。企業によっては、商品の他にもグラフや企業に関する写真、商品に関連する写真をアップすることで、ユーザーに商品の裏側や背景などを紹介しています。
これによってユーザーがより商品を身近に感じられることが、Pinterestのメリットなのではないかと考えられます。また、商品のアピールだけではなく、アップする画像によっては企業ブランディングにつなげることも可能です。
さらにPinterestは6月2日、「Buyable Pins」という新機能を発表。ユーザーがPinterestから商品を直接購入できる機能で、EC機能も持ち合わせたこととなります。
各国によって、使われている、トレンドであるSNSはさまざまです。そのトレンドに乗ってSNSをマーケティングツールとして使うのも1つの手です。しかしその上で、「他の国はどのようなSNSがトレンドなのだろうか」「そして、それをどのように使っているのだろうか」と、マーケティングにおいて豊かなナレッジを身につけるためには、グローバル視点で物事を考えることが必要なのです。
2007年12月アウンコンサルティング入社。
検索エンジンマーケティング(SEM)事業で、コンサルタント、営業を経験。金融、美容業界などBtoCを中心に幅広い業界の導入支援実績を持つ。
現在はエキスパートマネージャーとしてグループを統括し、グローバルマーケティング戦略の立案・実行に携わる。
最近の趣味はジョギング。平日は忙しく運動不足になりがちなので、週末は決まって、近所である多摩川沿いを走っている。
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