懸念される点
- 状況判断のミス:Now on Tapが現実世界のニーズをどのくらい的確に予測できるものか、まだ明らかになっていない。電子メール本文の解釈を誤ることもあるだろうし、初めての空港に到着したときにユーザーが何を必要とするかという推測を誤るかもしれない(「タクシーを呼ぼうとするのはやめてくれ、Google。もう乗っている。静かにしてくれないか」)。
- 実際には使わないパートナーアプリやサービスを勧める:Googleのプレゼンテーションでは、UberとInstacartにスポットライトが当たった。どちらも筆者が使ったことのあるサービスだ。自分が気に入っているアプリやサービスを提案してくれるほどスマートであることを願おう(Googleが米CNETに語ったところでは、「Googleによってインデックス化されていれば、状況に合ったあらゆるアプリが表示される可能性がある」という)。
- 提案が少なすぎる:スマートフォンで暇つぶしをしているときには、Now on Tapが音楽アプリやゲームのお勧めを提案してくるだろう。では、ミュージックビデオを視聴するとか友人に電話をかけるとか、ユーザーが本当にやりたいと思ったことも提案してくれるのだろうか。
Now on Tapはユーザーの電子メールをスキャンして、状況を把握しようとする。
提供:Photo by James Martin/CNET
- 実際に心を読むわけではない:ガソリンスタンドを見つけるというシナリオを思い出してみよう。Now on Tapが提案するガソリンスタンドは、道路の反対車線にあるかもしれない。2度もUターンするというのは実に腹立たしい。あるいは、いつもShellのスタンドだけを使っているのに、76に連れて行かれることも考えられる。どんなにがんばってもらっても、役に立たないことを提案されるのは、何も提案されないよりイライラするものだ。
- 学習しない:Now on Tapはまだ人間によってプログラムされるが、時間をかけてユーザーの習慣を学習し、適応していけば、有益さをうたう宣伝どおりの性能を発揮する可能性が高くなる。
- プライバシー面の懸念:Googleはすでに、ユーザーについてあまりにも多くのことを「知って」おり、「Gmail」のお勧め情報や他の差し出がましい「ヘルプ」は、心底気味が悪いと思えることもある。Googleにとって、Now on Tapは自らの触手をさらに伸ばす絶好の機会のようだ。確かに便利だが、効果的なプライバシー保護対策を十分に施さなければ、ユーザーが近づかない可能性もある。
AppleのSiriとMicrosoftの「Cortana」より優秀
筆者にとって、GoogleのNow on TapはすでにSiriとCortanaを(さらにAmazonの「Alexa」も)超えている。試してみる必要すらない。Googleは筆者が最重要視する2つのことに関して、他よりも圧倒的に優れているからだ。その2つとは、正確な検索認識と結果、そして(必要不可欠ではないがあると便利な)予測機能である。
Siri、Cortana、Google Nowはいずれもリマインダーを設定するが、荷物が届いたことを通知してくれるのはGoogleだけだ。
提供:CNET
確かに、3社のアシスタント機能にはそれぞれ強みがある(Cortanaは最初の質問に続く質問を処理するのが得意だ。すべてのきっかけを作ったSiriは、Google Now風の独自機能が実装されるとうわさされている)。Google Nowは他のアシスタントより温かみがなく、ロボットらしい感じもする。明らかに、人間らしく振る舞う「アシスタント」というより、データベースツールだ。
人間らしさを重視する人は、他のアシスタントを選べばいい。筆者が重視するのは、作業を迅速かつ正確に(同じ命令を3回も繰り返すことなく)処理できることだ。
GoogleがNow on Tapを一般公開するまでの間、このAndroidの最も特徴的な機能が同OSを輝かせ続けることを強く願う。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。