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新潮流「ダイナミックリターゲティング」

ダイナミックリターゲティングの本質は「広告」と異なる--活用時の視点 - (page 2)

アダム・イスマイル(Criteo)2015年05月28日 08時00分
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ダイナミックリターゲティングの位置付け

 ここではまず、従来の実店舗リテールで考えてみます。

 実店舗リテールの場合、振り向いてくれた消費者は、実際に店舗に足を運んでくれた人になります。実際に来店した消費者全員が必ず商品を購入する前提であれば、店舗の売上を拡大するための戦略は至ってシンプルです。広告投資をとにかく増やし、店舗には商品を山積みに置き、レジ打ちだけをこなす従業員を置くことで足ります。

 実際にそのような店舗営業体制を取っているリテール企業は、まず存在しないでしょう。

 それは当然、来店した消費者が、店舗で必ず商品を購入する保証などないからです。実店舗リテールにおいてのマーケティングの常識は、広告投資を効率良く収益化するために、店舗での「販売促進費」をかけることです。それは店頭のプロモーションや商品ディスプレイ、購入に繋がり易い環境を整えるための投資や、優秀な販売店員の武器となるものに対するコストです。広告投資によって、振り向いてくれた消費者に実際に来店してもらい、その販売チャンスを逃さず、実際の購入につなぐために、絶対に必要なコストとなります。

 広告を見て来店に至った消費者を購入に誘導するには、店舗の場が最も重要です。店舗の場でしかできない「消費者からのインプット」を取得し、ニーズを把握することにより、その消費者に特化した商品推奨がはじめて実現できるのです。

 効率よく実店舗営業で収益を上げるためには、広告費用、販売促進費用の両方が必要となります。前者は来店者の獲得を、後者は来店した消費者の収益化を目標としています。これらは全く別物であると同時に、広告費用が川上にあり、販売促進費が川下にあると認識することが最も重要なポイントです。

 Eコマースにおける収益最大化も、全く同様です。


リターゲティングのイメージ

 検索キーワードや従来型のオンラインディスプレイ広告は広告費用に、ダイナミックリターゲティングは販売促進費に該当します。すなわち、前者がユーザートラフィックの獲得を目的とするのに対し、後者は獲得できたユーザートラフィックの収益化を目的とします。検索キーワードや従来型ディスプレイ広告の一方的な発信と比較して、ダイナミックリターゲティングは実店舗の場により近いと言えます。ユーザーの行動データに基づき、ユーザー個人に特化した分析の結果から商品を推奨し、より高い確率で購入へと誘導するのです。

 Eコマースの運用面においても、ベストケースは同様です。検索キーワードや従来型ディスプレイ広告は川上であり、その広告投資で獲得できたトラフィックを効率良く収益化するのが、川下にあるリターゲティングの役割なのです。

片方だけならどっちが大事?

 ベストケースがその両方であるとしても、コスト面で厳しい場合、果たして従来型ディスプレイ広告とダイナミックリターゲティング広告、どちらを優先すべきでしょうか。

 各業種での様々な事情があるため、明確に答えるのは難しいものの、日本における実店舗営業においては明確な片寄りがあります。

 日本は欧米と比較して、広告費に関しては非常に保守的であり、販促費においては積極的と言えます。実店舗を運営する国内企業経営陣の大半は、一遍の迷いもなく販売促進費を優先する、と答えるでしょう。そしてその最大の理由を問われると、ほとんどが「販売促進費は、広告費より遥かに収益につながりやすいから」と答えるはずです。

 すなわち、Eコマースで言い換えると、CVRが高いものを優先する、という結論です。世界の国々と比較して、日本の店舗営業が非常に高く評価されるのは、そうした結果かもしれません。また、販売促進費への片寄りには、日本特有のもうひとつの要因が考えられます。それは実店舗へのこだわり、そして顧客一人ひとりに対する営業へのこだわりである「おもてなし」の一面とも言えるかもしれません。

 1ユーザー単位での行動データに基づく、精密かつ最適な商品推奨を実現できるダイナミックリターゲティングは、販売促進費を惜しまない日本企業の経営方針に、良くフィットしていると考えられます。

 オフラインにおいて一人ひとりのお客様のニーズをより良く理解し、よりフィットした商品を提供するのが日本企業のミッションであるとしたら、Eコマースにおいてもその点を重視すべきではないでしょうか。

 オンラインよりも長い歴史のあるオフラインのビジネスにおいても、日本企業の「収益につながりやすい」マーケティング活動を好む傾向からも、ダイナミックリターゲティングは今後もオンラインのマーケティング活動の重要なポジションを今後も築いていくことになると考えています。

アダム・イスマイル

Criteo

シニアスペシャリスト アカウントストラテジー

2005年、シティグループ証券入社。ノンバンク、不動産私募ファンド、その他中小型株のジュニア・アナリストを担当。2012年、アパレル大手ワールドで海外での事業戦略担当を経験。2014年より現職。

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