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物価高騰がもたらしたシンガポール女性のジレンマ

島田裕一(アウングローバルマーケティング)2015年04月29日 08時00分
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 この連載では、アウンコンサルティングの現地駐在員による、日本・台湾・香港・タイ・シンガポールでのマーケティングに役立つ現地のホットトピックを週替わりでお届けします。今回はシンガポールから、女性の社会進出についてお伝えします。


シンガポールの街を行く働く女性たち

働くシンガポール女性

 「寿退社」という言葉があるように、以前の日本では、女性は結婚後に退職して家庭に入るという考え方が一般的でした。現在は、結婚/出産後も働き続ける女性が増え、政府や民間企業も女性が働きやすい環境作りに力を注いでいます。シンガポールも働く女性が多い国ですが、日本と比べると、大きな違いがあると感じます。

 シンガポールでは、女性は結婚/出産後も働き続けるのが一般的であり、専業主婦というと、よほどのお金持ちと思われるようです。実際、女性の労働参加率を見てみると、日本46.2%に対し、シンガポール57.2%(2012年、HRアドバンテージ調べ)と10%以上もシンガポールが高い状況です。

 25歳から44歳までの年齢別に見てみると以下のようになり、特に子育て世代の労働参加率において、シンガポールのほうが高くなっていることがわかります。

<日本>
25-29歳(77.6%)、30-34歳(68.6%)、35-39歳(67.7%)、40-44歳(71.7%)

<シンガポール>
25-29歳(86.8%)、30-34歳(83.3%)、35-39歳(78.9%)、40-44歳(74.8%)

文化的背景

 働き続ける女性が多い背景として、いくつかの理由があります。第一に、結婚後も両親と同居するのが一般的で、仮に別居したとしても近くに住むという文化があります。子供を保育園に預けるように、毎朝両親の自宅へ預けてから出社する人も大勢いるようです。


シンガポールの保育園

 日本では故郷を離れて就学、就職をし、その場所で結婚、出産をするようなケースが多々あります。一方で、小さなシンガポールという国ではそのようなことはほとんどないため、地理的な背景であるとも言えるかもしれません。

 第二に、外国人家事労働者、いわゆるメイド文化があります。日本では家政婦を雇うのは一部の富裕層というイメージが強いですが、シンガポールではメイドを雇うことは特別ではありません。

 現在シンガポールには17万人を超えるメイドがいると言われており、簡単に見つけることができます。料金の相場は、月額400~700シンガポールドル(約3万円~6万円)で、それに加えて200~300シンガポールドル(約2万円~3万円)の“Levy”という税金を政府に支払う必要があります。フルタイムで働く家庭がある女性にとって、家事や子供の教育などを任せることのできるメイドは、もはや欠かせない存在となっています。

 第三に、豊富な保育施設の存在が挙げられます。公的、私的両方の施設を合わせると十分な数が存在し、一部の人気園を除いては、日本のような待機児童はいません。

 政府からの補助金も充実しており、7~19時のフルタイム保育でも、自己負担額が100シンガポールドル程度(約1万円)で済む場合があるほどです。

シンガポール政府の取り組み

 シンガポール政府の取り組みとして、国の機関(Ministry of social and family development)が父親の子育て参加を促す活動や、両親宅と近隣の物件を購入しようとする場合の補助金制度、倍の当選率を与える制度など、さまざまな工夫が見られます。

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