米国の2015年のディスプレイ広告市場に大きな変化を起きそうだ。調査会社eMarketerの最新データによると、かつて強大な勢力を誇った米Yahooがシェアをさらに縮小させているという。
eMarketerが米国時間3月26日に発表した調査報告書によると、米国でFacebookの2015年ディスプレイ広告売上高はGoogleの2倍近くになる見通しだという。Facebookの売上高は68億ドル、Googleは35億ドルと予測している。米国ディスプレイ広告市場におけるシェアは、Facebookが25%、Googleが13%になる見通しだ。eMarketerによると、2017年までに、Facebookの広告売上高は100億ドルに急増し、27%の市場シェアを獲得するが、Googleは売上高が最高で41億ドル、シェア11%になるという。
ディスプレイ広告はコンピュータ、携帯電話、タブレット上に表示される広告として分類されている。eMarketerの調査によると、その内訳は、バナー広告、スポンサー広告、動画、Facebookの「News Feed」広告や、その他のフォーマットとなっている。この売上高は、企業の広告を表示するパートナーサイトへの支払いコストを除いた額となっている。
eMarketerの今回の調査から分かった1つの意外な点は、TwitterとYahooを中心としたものだ。同調査会社によると、Twitterは2015年にディスプレイ広告企業として3番目の規模になり、同じ年にその売上高は13億ドルになる見込みとなっている。これに対し、Yahooは12億ドルとなっている。eMarketerは、Twitterの2015年の広告売上高が前年比で62.1%の伸びとなるのに対し、Yahooはわずか1%の伸びにとどまると予測している。
Twitterが、かつてオンライン広告分野を支配したYahooを上回る可能性があるというのは、長年、多額の赤字を計上してきたTwitterにとって朗報だ。Twitterは2014年、5億7780万ドルの赤字を計上しており、2013年の6億4500万ドルの赤字からはやや減少となった。
Twitterのユーザー基盤の4分の3は米国外の居住者が占めているが、同社の売上高の3分の2は米国からの売り上げが占めている。一方でTwitterは、米国外の売上高を拡大させる計画があると述べており、3月に入って香港オフィスを開設した。中国や他のアジアの地域でTwitterを利用して積極的に広告を展開したい企業を見つけ出すことが狙いだ。こうした動きは、Twitterが中国で禁止されているにもかかわらず、同社を含むほとんどのウェブ企業にとって、中国がいかに重要になってきたかを示している。
Twitterの成功と、同社が2015年にディスプレイ広告分野で3位につくことは、かつて何年にもわたりこの分野をリードしてきたYahooにとって、さらに厳しい現実となっている。2011年までに、首位の座はYahooからGoogleとFacebookへと取って代わり、それ以来Yahooは後れをとったままだ。
2014年、Yahooの世界全体の売上高は前年比4%減の19億ドルだった。一方、YahooはMicrosoftより順位を下げ、世界第4位のディスプレイ広告企業となっていたことが、eMarketerの調査で明らかになっている。GoogleとFacebookは、同分野で世界のトップに立っている。
Yahooは問題を抱えているが、同社の最高経営責任者(CEO)のMarissa Mayer氏は、状況を好転させようと最善の努力を続けてきた。同氏はかつて、Googleの事業である広告収入の拡大を支援する役割を担っていた。Yahooは過去数カ月間、いくつかの動きを見せており、それには、モバイル分析企業Flurryを8月に買収したことや広告関連部隊を再編したことに加え、Amazonの営業部門幹部だったLisa Utzschneider氏を採用して米営業部門をまかせたことなどが含まれる。Yahooは11月、Brightrollを6億4000万ドルで買収し、顧客がより簡単にビデオ広告を購入できるようにした。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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