企業のInstagram活用方法をご紹介する本連載。海外事例の2つ目は、米国内でトップシェアを誇るギリシャヨーグルトブランドの「Chobani(チョバーニ)」。朝食利用以外のシーンにヨーグルトの需要をつくり出そうと展開した、“A Yogurt for All Occasions”キャンペーンをご紹介します。
ChobaniがInstagramを導入したのは2011年。それ以前は、複数のプラットフォームを横断してブランド体験を提供する方法を模索していました。その過程で、ブランドのソーシャルメディアチームはInstagramer(ユーザー)が「#creationaday」「#chobani」というタグとともに、chobaniが写されたおしゃれな朝食フォトを投稿していることを発見。他のヨーグルト好きな人にchobaniを推奨したり、自らブランドとつながろうとしているコアなファンがInstagram上にいることがわかったのです。
これについてChobaniのコンテンツマネージャーであるHilary duPont氏は、「お客様がいるところに、会いにいきたいと思っている。我々は毎日ソーシャルメディアで起きていることをウォッチし、何が流行しているのかをキャッチしている。もしお客様がヨーグルトスムージーの写真を投稿しているなら、私たちもそうする。彼らが何をしているのかを知り、私たちも同じことをするのだ」と述べています。ソーシャルメディアをファンとの共創プラットフォームとして捉えていることがうかがえます。こうして、ブランドのファンとつながること、新たなchobaniの楽しみ方をファンとともに創っていくことを目的に、Instagramをマーケティングに活用していきました。
Chobaniが誕生したのは2007年。当時、ギリシャヨーグルトは米ヨーグルト市場でわずか2%という割合でしたが、国民の健康志向の高まりに合わせて人気に。今では36%を占めるカテゴリーへと成長しました。
Chobaniは100%ナチュラル、ローカル食材を利用し、遺伝子組み換えを利用しないなど、品質と安全性へのこだわりを大切にしており、その姿勢が支持されています。Facebookやブランドサイトでは、「Chobani=NATURAL」という一貫したブランドイメージを伝えるため、フレッシュな果物や木の食器を見せる工夫をしています。Chobaniは「品質の良い食品に人々は集まる。品質の良さは誰もが求めるものであるはずだ」と考え、Instagramでも統一されたナチュラルなイメージを伝えようとしました。
Chobaniは、「ヨーグルトは朝食に食べるものだ」という人々の概念を変え、さまざまなシーンでヨーグルトを楽しんでもらうことをゴールとして設定。米国内の多くの見込み客にリーチし、ヨーグルト消費に対する意識を変化させること(朝食のための食品という概念を変える)をKPIとしました。
(1)スポンサー広告で利用シーンを提案
18~49歳の女性をターゲットに、昼間の間食やデザートなど、Chibaniのさまざまな楽しみ方を提案する広告を4週間出稿。Chobaniファンだけでなく、見込み客(健康志向な女性)へのリーチを狙いました。
(2)ファンの投稿をピックアップ
Chobaniは、広告出稿だけでなく、ファンの投稿をピックアップし紹介しています。「#Chobani」や「@Chobani」付きの投稿をモニタリングし、Chobaniを使ったズムージーやマフィン、ワッフルなど、ユニークな投稿を次々と取り上げました。
投稿時には、ファンのアカウント名と「#1fans」を記載し、ファンによる投稿であることを明示。ファンの投稿モチベーションを上げると同時に、ファンとの関係性構築を狙いました。
Instagram for Businessによると、「A Yogurt for All Occasions」施策の結果、400万人のターゲット層にリーチ。広告記憶率は22ポイント上昇しており、ネット広告の平均値(ニールセン調べ)の約4倍高い数値を記録しています。
また、このキャンペーンがヨーグルト(Chobani)は朝食に食べるものであるという常識を変える契機となり、新たな購買機会の創出に貢献しています。
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