クラウドソーシングサービス「ランサーズ」を運営するランサーズは12月2日、KDDI、インテリジェンスホールディングス、コロプラ、グリーベンチャーズ、グロービス・キャピタル・パートナーズ、GMO VenturePartnersの6社から、総額10億円を調達したことを発表した。また、KDDI、インテリジェンス、グリーとは業務提携もする。
現在、ランサーズは10万5000社に利用され、会員数は42万人にのぼる。今回の資本・業務提携を通じて、クラウドソーシングの地域普及をさらに進めるほか、法人向けサービスも強化する。また、資金をランサー(フリーランサー)の支援、人材採用、システム開発などに充てるほか、海外展開も視野に入れているという。
「これまでクラウドソーシングはネットサービスの1つと捉えられていたが、今回の顔ぶれをみると既存の大手企業もクラウドソーシングの可能性を本気で感じていただいている。(資本・業務提携によって)次のフェーズにきたなと感じている」――ランサーズ代表取締役社長の秋好陽介氏は、大型調達についてこう思いを語る。
同社はすでに、KDDIとは中小企業の事業拡大やコスト削減を目的に2月に提携し、4月には地域特化型のマッチングサイト「ランサーズプレイス」を公開している。地方の中小企業が提供する、工事や士業といった非IT系の仕事情報を中心に掲載し、それらを利用したい企業や個人とマッチングさせるサービスだ。
KDDIとは半年前からこれらの取り組みの強化に向けた交渉を進めていたという。今後はランサーズの中小企業向けクラウドソーシング事業の共同運営や、ビジネス支援サービス「KDDI まとめてオフィス」の拡販、地方でのクラウドソーシングの利活用を進めるとしている。
求人情報サービス「an」や転職サービス「DODA」を手がけるインテリジェンスとは、従来の正社員や契約社員、アルバイトという働き方に加えて、新たにクラウドソーシングという選択肢をサービス上などで提案する予定だ。
グリーとは、SNS「GREE」のモバイルゲームの制作業務を、ランサーズのランサーに発注する関係を構築する。これまでは社内や外注先が行っていた、ゲーム内のイラスト制作やランディングページの作成、ライティングなどの業務を、スキルや適正のあるランサーに依頼することで、単価の底上げを図りたい考えだ。
「今後はネットとリアルのハイブリッドでクラウドソーシングを展開できるようになる。これまでランサーズで数百万円の報酬をもらっている人は数百人だったが、今回の提携でそこを一気に変えられる。2015年は個人が本当の意味で働けるプラットフォームにしたい」(秋好氏)。
ところで、12月12日には同じくクラウドソーシングサービスを運営するクラウドワークスが上場する。この点については、「今年はリアルワールドも上場しており、クラウドソーシングのマーケットを成長させるという意味では喜ばしいこと」(秋好氏)と歓迎の姿勢を見せる。続けて、時期は未定としながらも「われわれも当然IPOは予定している」と語った。今回の資本・業務提携がその計画に影響を与えることはないという。
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