クラウドソーシングサービス「ランサーズ」の、第1四半期(4~6月)の契約金額が4億5000万円であることを明かしたランサーズ。クラウドソーシング協会の設立や、同社が抱える会員データベースの開放も発表するなど、2014年の上半期は特別な半年間だったと代表取締役社長の秋好陽介氏は振り返る。
2008年に創業したランサーズの現在の会員数は約40万人で、利用企業数は約10万社、仕事の依頼総額は350億円規模まで拡大しているという。2012年に事業を開始した競合サービス「クラウドワークス」も、9月末時点で約22万会員、約4万社に利用され、依頼総額は150億円まで拡大していることから、この2年間だけでもクラウドソーシング市場が着実に成長していることが分かる。
インターネットを使って、仕事を依頼したい企業とフリーランス(個人)をマッチングする「クラウドソーシング」。各社の活動によって認知度は高まりつつあるが、「言葉を知っていても、実際にビジネスの商流で使っている企業はまだまだ少ない」と秋好氏。企業が当たり前のようにクラウドソーシングで受発注をするようになるまでには、少なくとも数年はかかると見ており、業界全体として取り組む必要があると話す。
ただし、「一度使っていただくと大手企業でもリピート率はかなり高い」とも。コンペで選んだデザイナーと直接契約をして1人に継続して仕事を依頼している企業や、プロジェクトにおいてオンラインチーム機能を活用して、社内のメンバーと同じように幅広い仕事をフリーランスに発注している企業もあるという。「特に社内にIT部門がない中小企業などでは、オンライン部署のように使っていただいている」(秋好氏)。ランサーズの仕事依頼の約半数は東京からとなっており、逆に受注の約7割が東京以外の地域で発生しているのだという。
クラウドソーシングは数百円など安価な案件も多いことから“価格破壊”と言われることもある。この点について秋好氏は「我々も課題感を持っている」と認める。その上で「業界のパイオニアとして率先して解決案を示していきたい」と話す。たとえば、現在は月に2万~2万5000件の仕事依頼が登録されているが、新規の企業でも価格を設定しやすいように相場表示機能を提供している。
「今は『専門ライティング』と『簡単な説明を100文字で書く仕事』を、ランサーズの同じ棚に並べてしまっているが、1コラムで数万円の高単価な仕事もたくさんある。そこは言葉の定義も含めて見せ方を工夫していきたい。また、ユーザーのランク分けもしているので、それらを活用した価格設定も検討したい」(秋好氏)。
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