クラウドワークスは9月25日、同社のクラウドソーシング事業のアドバイザーに、MIT メディアラボ所長の伊藤穰一氏と、米WIRED誌のコントリビューティング・エディターで、“クラウドソーシング”の名付けの親でもあるジェフ・ハウ氏が就任したことを発表した。
デジタルガレージをはじめとする多くのIT企業の設立や運営に携わってきた伊藤氏と、長年のジャーナリストキャリアの中で、クラウドソーシングビジネスについて10年近く取材してきたジェフ氏の参加は、今後の海外展開において大きな力になると、クラウドワークス代表取締役社長の吉田浩一郎氏は語る。
「クラウドワークス」は、非対面のまま仕事のマッチングから業務の遂行、報酬の支払いまでを一括で行える、エンジニアやクリエイター向けのクラウドソーシングサービスで、2012年3月に提供を開始した。それから1年が経った2013年3月時点の登録ユーザー数は2万2000人、企業数は5000社、募集案件の総額は10億円だったが、約2年半経った現在はユーザー数が22万人、企業数が4万社、募集総額が150億円まで拡大しているという。ただし、成約率については非公開とした。
「企業だけでなく、経済産業省、総務省、国土交通省、外務省など政府4省を始め、約20の都道府県や地方の自治体にもご利用いただいており、確実に行政での認知は広がっている。企業もヤフーやグーグルなどのネット大手から、ヤマハや大塚製薬などの既存プレイヤー、さらに講談社や日経などのメディアまで、幅広い活用が進んでいる」(吉田氏)。
当初は企業内の一部の仕事を依頼するといった使われ方が主流だったが、今では企業ロゴデザインや、人気商品のキャッチコピーの募集など、重要なプロジェクトなどにも採用され始めている。しかし、単発での企画や突発のキャンペーンが多いため、継続利用されないことが課題だという。こうしたサービスを社内の業務で日常的に取り入れるには、経営者や部署の理解を得る必要があるからだ。そこで、クラウドワークスでは、トップ層向けの講演会などに定期的に参加。またアンバサダー制度も導入し、全国において理解者やパートナーを増やすための活動を積極的に進めている。
ところで、同じくクラウドソーシングサービスを提供するランサーズでは最近、各領域の企業との提携を通じて、受注者の“質”を高める動きを加速している。同社と比べるとクラウドワークスは、認知拡大を優先しているように見える。この点について、吉田氏は「たとえばECの領域で見ても、日本全体の消費からすれば5%にすぎず、残りの9割以上はリアルでの消費。やはり既存企業に対する認知が非常に大事なのでまずはそこからやっている。ただし、(健康Q&Aサービスの)『Doctors Me』との提携など、質を高める取り組みも始めている」と説明する。
またランサーズは8月に、同社の会員データベースを外部パートナーに開放することを発表したが、クラウドワークスでは当面、データベースの開放は考えておらず自社でクライアント企業をサポートするとしている。
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