4Kという言葉とその高画質にもようやくなじんできたと思った矢先に、Appleがこの分野へと手を伸ばし、同社が5Kディスプレイと呼ぶものを、27インチの高級オールインワンデスクトップ「iMac」に追加した。
正式名は「iMac with Retina 5K display」で、スクリーンに酸化物TFTという新素材を採用したほか、Retinaディスプレイ搭載「iPad」の技術を応用し、ピクセル間のクロストークを低減して画像を鮮明にしている。パネルの明るさは前世代のモデルと変わらないが、Appleによれば消費電力が30%削減されているという。
実際に目にすると、5120×2880のディスプレイは圧倒的というしかなく、特にフルスクリーンで見た高解像度の写真や動画は素晴らしい。前世代の27インチiMacは2560×1440のディスプレイだったため、今回はまさに一足飛びである。2013年モデルはグラフィックスにNVIDIAの「GTX 775M」GPUを使用していたが、Appleは今回の5KモデルでAMD製に切り替えて(戻して)、「R9 290X」を採用した。Appleは以前にもNVIDIAとAMDの両ブランドでGPUを切り替えており、現在はAMD製GPUが「Mac Pro」と新型iMacに、NVIDIA製GPUが15インチ「MacBook Pro」に搭載されている。
Macの用途としてゲームの比重が大きくなったことはないが、グラフィックカードの性能は、動画の編集やエンコード、CADやデザイン作業において死活問題だ。それこそが、15インチの「MacBook Pro with Retina display」、27インチiMac、デスクトップのMac Proなど、専用のグラフィックカードを搭載したモデルが選ばれる理由の1つである。
今回のiMacで見当たらないのは、最新世代の内部コンポーネントだ。NVIDIAはモバイル用にもデスクトップ用にも新しい900シリーズGPUを用意しているが、前述のとおりAppleが採用したのはAMDだった。Intelは開発コード名「Broadwell」という新世代のCPUをじきにリリースする見込みだが、出荷は早くても2015年前半になる見通しだ。それまでは、ハイエンドデスクトップ向けとして8月に発表されたばかりの「Haswell-E」チップを代わりに使うという選択肢もあったはずだが、今回は標準的な「Haswell」世代の「Core i5」が採用された(250ドルで「Core i7」にアップグレード可能)。2GバイトのGDDR5メモリを搭載する標準のRadeon R9 290Xは、250ドルで4GバイトのGDDR5Rメモリ搭載のAMD製「Radeon R9 M295X」にアップグレードできる。
iMac with Retina 5K displayのストレージオプションは、標準の1テラバイトの「Fusion Drive」か、256Gバイトのフラッシュストレージ(SSD)を同じ価格で選べるが、3テラバイトのFusion Drive(150ドル)、512Gバイト(300ドル)または1テラバイト(800ドル)のフラッシュストレージという構成も可能だ。メモリは標準で8Gバイト(4Gバイト×2)だが、合計で4スロットあるため、追加料金を支払って16Gバイト(200ドル)または32Gバイト(600ドル)に拡張することもできる。
その他の仕様としては、802.11ac Wi-Fi、ギガビットイーサネット、Bluetooth 4.0のほか、SDXCカードスロット、USB 3.0ポート4基、「Thunderbolt 2」ポート2基、デュアルマイク、ステレオスピーカー、ヘッドフォンジャックがある。
過去2世代いずれかの27インチiMacを使った人なら、外観は察しがつくだろう。デザインはこれまでと変わらず、最薄部が5mmで、背面がゆるやかに膨らんでいる。しかるべき角度で見ると驚くほどの薄さだが、全体を見てもかなり薄いというのが正直ところだ。
iMacは、デザインの全面的な見直しが必要な時期にあるのだろうか。同じ本体形状はこれで3世代目となり、そのデザインはベースモデルの21.5インチiMac(われわれは「iMac Air」と呼んでいる)にまで採用されている。とはいえ、今でも市場で最もシャープな見た目のオールインワンであり続けており、目を見張るような5Kディスプレイは、ほかの仕様がどんなものかほとんど気づかなくなるくらいに、ユーザーを魅了しそうだ。
皆さんにとって、これは自分に向いているMacだろうか。写真やビデオのプロであれば、一見の価値があるのは間違いない。そのような職業の人であれば、すでにMac Proが候補になっている可能性が高いはずだが、こちらは内蔵の5Kディスプレイを搭載するモデルであり、開始価格は500ドル安い。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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