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MasterCardはウェブで存在感を示せるか-- アジアマーケティング責任者に聞く

藤井涼 (編集部)2014年10月14日 10時30分
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 MasterCardは9月末、デジタルマーケティングプラットフォーム「Priceless Engine(プライスレスエンジン)」を2015年に提供することを発表した。

 同社が提携するFacebookから提供されたユーザー情報やGoogleの検索動向と、MasterCardや加盟店の決済データを組み合わせた、ネットとリアルを網羅したプラットフォームだ。銀行などのパートナー企業は、このツールを活用してリアルタイムにマーケティングデータを収集し、自社のターゲットのみに的確な広告やキャンペーン情報を配信できるようになるという。

 10月1日にオーストラリアのシドニーで開催されたイベント「DIGITAL&SOCIAL BUSINESS SYMPOSIUM 2014」で、MasterCard シニア・ヴァイス・プレジデント/アジア太平洋地域マーケティング担当最高責任者のサム・アハメド氏に、Priceless Engineを提供する狙いを聞いた。


MasterCard シニア・ヴァイス・プレジデント/アジア太平洋地域マーケティング担当最高責任者のサム・アハメド氏

――これまでのMasterCardのデジタル戦略を教えて下さい。

 MasterCardにとってのデジタルの位置づけですが、これまでは他社と同様にウェブ広告を展開していました。今後はPriceless Engineを通じて、消費者に素晴らしい体験を提供していきます。もちろん日本でも提供する予定です。

――サービス開始当初のPriceless Engineの展開国は。

 まず、2015年の第4四半期からインド、香港、中国などで提供を開始します。ツールを提供するだけでなく、MasterCardの発行パートナーのニーズにあったコンテンツやキャンペーンの開発のお手伝いもしたいと考えています。たとえば、パートナーのビジネスチャンスやECの最大化、課題の解決などです。

――銀行以外のパートナーにも提供する計画はあるのでしょうか。

 我々はすでに旅行、小売、ECなど、さまざまな加盟店と優れた関係を構築しています。2015年中にはPriceless Engineを通じて、世界各国の消費者と加盟店が繋がれるようにしたいと思っています。たとえば、日本の加盟店が持つ世界最高品質の商品も、Priceless Engineを活用することで、インドやオーストラリアの適切な消費者に届けられるようになるのです。

――日本は他の先進国と比べるとクレジットカード利用率がそこまで高くありません。

 それは我々にとって非常に大きなチャンスです。消費者は現金ではなくMasterCardの商品やサービスを使ったほうが、セキュリティが高く安全です。やはり現金を引き出して紛失したりするリスクを考えるとベネフィットがあるのではないでしょうか。それに、Appleの商品を米国の小売店から買う時に日本円は使えないこともありますよね。これから5年間でECの消費はさらに増えるでしょう。その中で、MasterCardの利用者も増えていくと思います。

――PayPalやSquareなど、さまざまなウォレット事業者が参入し競争の激しさが増す決済業界で、今後はどのようにして存在感を示すのでしょうか。

 (決済は)非常にイノベーションに富んだ業界です。その中でMasterCardは2つの要素を30年間にわたり強みとしてきました。1つめは「セキュリティ」。これは我々のDNAとも言えるもので、テクノロジや人材など非常に多くの投資をしてきました。それは一夜にして作れるようなものではありません。もう1つは「プライスレス」。消費者との感情的な繋がりによって取引が牽引され顧客に価値を提供できます。他社とはこの2つの要素でしっかりと差別化できていると考えています。

――今後、私たちの購買体験はどう変わっていくのでしょう。

 決済にとって一番大きな変化は、スマートフォンが登場したことです。特に急速に浸透率が伸びているアジア地域では、現金からクレジットカード決済を飛び越して、モバイルで決済が行われています。この変化は今まさに起こっているのです。

 また、ECの成長によってモバイル決済は多くの人にとって日課になりました。10年前であれば、買い物をするには服を着て、電車に乗って、店舗に行かなければいけませんでしたが、いまは手元の携帯電話だけで完了するのです。今後はそれらに対応できるテクノロジやトランザクションデータ、そして安心して利用できるセキュリティが重要になります。

 またモバイルでは消費者はより簡単な体験を求めています。つまり、決済方式が楽になればなるほどいいのです。我々はそこにイノベーションを投入すべきだと考えています。

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