スマートウォッチを製造する各社は、ユーザーの腕に魔法の力を授けようとしている。しかし今のところ、ほとんどの企業は成功していない。Motorolaの「Moto 360」が3月に披露された際、これは2014年におけるウェアラブル機器の新たなコンセプトを具現化したものであった。丸い形状の文字盤を採用し、先進的なGoogleのソフトウェアが稼働し、まるで近未来からやって来た機器のように見えた。これがハイテク腕時計の次の波となるのは間違いなかった。
Moto 360は、「Android Wear」を搭載したスマートウォッチのうちで、初めて丸い形状の文字盤を採用した製品だ。LGの「G Watch R」をはじめとする、同様の文字盤形状の製品が間もなく登場してくるだろうが、最初に入手可能となったのはMoto 360だ。米国では249.99ドルで販売されており(他国でも2014年中に発売される予定だ)、この価格はLGの初代スマートウォッチである「G Watch」よりも30ドル高く、サムスンの「Gear Live」よりも50ドル高い。
Moto 360を1カ月ほど使用してきた筆者は、この製品が究極のスマートウォッチであってほしいと心から願っていた。しかし、そうではない。Moto 360の評価は賛否が入り交じったものだ。これは必携の製品というよりはむしろ、今までと同じようなスマートウォッチがもう1つ登場したという感じである。
Moto 360の見た目が独特であるのは間違いない。美しいデザインが取りそろえられた文字盤や、質の高いバンド、音声によるコマンドを認識するための性能の高いマイクが組み合わさっている。しかし、このスマートウォッチは本質的に、他社のAndroid Wear搭載スマートウォッチと同じ問題を抱えている。その問題とは、中途半端なバッテリ持続時間と、対話的というにはほど遠い奇妙な通知、アクセスしにくいアプリだ。
これはMotorola側のミスではない。本当の問題は、Googleが開発したウェアラブル機器向けOSであるAndroid Wear側にある。このOSがもたらすエクスペリエンスは今のところ、手放しでほめられる段階には至っていない。Moto 360の外見はAndroid Wear搭載製品のなかでは美しい部類に入る。ただ、目新しい機能は搭載されていない。このため、その中身は他社製品よりも素晴らしいというわけではない。より長いバッテリ持続時間と洗練されたソフトウェア、フィットネスアプリに対するより良い理解があれば、極めて興味深いスマートウォッチに仕上がっていただろうと思うと残念だ。これらの点は、アップデートとともに改善されていくのかもしれない。しかし、現時点ではまだ満足できるレベルに達していない。
Moto 360はクールな外見のスマートウォッチだ。この点は間違いない。しかし、初めて腕にはめてみた際、数カ月前に披露された素晴らしい夢のスマートウォッチが色あせたように感じられた。
LGのG Watch Rといった同様の文字盤形状の製品が間もなく続々と登場してくるだろうが、最初に市場に投入されたのはMoto 360だ。この製品の丸いディスプレイは見ていて楽しい。また、本体の作りもエレガントなものになっている。
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