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MasterCardのデジタル戦略--「プライスレスエンジン」が実現すること

藤井涼 (編集部)2014年10月10日 13時12分
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 「お金で買えない価値がある。買えるものはMasterCardで」――“プライスレス”の意味を込めたこのキャッチフレーズを掲げ、全世界で決済事業を展開するMasterCard。同社はVISAと並ぶ世界2大クレジットカード会社として知られているが、今後はソーシャルメディアなどを活用したデジタル戦略を強化しようとしている。

  • 「DIGITAL&SOCIAL BUSINESS SYMPOSIUM 2014」の様子

 10月1日、全世界の銀行やパートナー企業を招いたイベント「DIGITAL&SOCIAL BUSINESS SYMPOSIUM 2014」がオーストラリアのシドニーで開催された。ここでは、同社が9月28日に発表したデジタルマーケティングプラットフォーム「Priceless Engine(プライスレスエンジン)」が、顧客やパートナー企業に与える価値について語られた。

 いまでは、多くの消費者が商品を購入する前にインターネットで事前にレビュー情報などを調べて意思決定するようになったが、この流れはスマートフォンを始めとするモバイル端末の普及によってさらに加速している。特にスマートフォンの利用者が急増しているアジア地域は、ビジネスにおける次なる投資先として世界から注目を集めている。

  • MasterCard アジア太平洋地域マーケティング担当最高責任者であるサム・アハメド氏

  • アジア太平洋地域では毎月1000万人以上が新規にインターネットに接続している

  • ソーシャル時代においては、ターゲティングや最適なコンテンツ、データ分析が重要になる

 アジア太平洋地域(APAC)には現在13億人のインターネットユーザーがおり、毎月1000万人が新規にインターネットに接続している。また全世界のソーシャルメディアユーザーの約半数がアジア地域にいると言われている。ソーシャルメディア経由でのEC利用率も増えていることから、今後はいかにして顧客の行動や嗜好を把握して、商品情報などを提供できるかがビジネスの鍵を握ると、MasterCard アジア太平洋地域マーケティング担当最高責任者であるサム・アハメド氏は語る。

消費者の嗜好を把握してリアルタイムに訴求

 MasterCardが2015年に提供する予定のPriceless Engineは、同社が提携するFacebookが保有するユーザーの属性や趣味嗜好、Googleトレンドのリアルタイム検索動向などの“ウェブ”のデータと、MasterCardや加盟店の決済データや“リアル”なユーザーデータを組み合わせたプラットフォーム。

 銀行を始めとするパートナーは、このツールによって自社のターゲットのみに的確な情報を発信できる。たとえば「インドネシアに住む、音楽好きの20代の男性」にだけ、広告やキャンペーン情報を配信できるようになる。あらゆる国や地域に情報を発信できる点は、世界中に加盟店を持つMasterCardならではの強みと言えるだろう。

  • 「Priceless Engine」は複数のサービスのデータを結集して構築されている

  • 「Priceless Engine」の概要

  • 「Priceless Engine」の概要

 この際に“エモーショナルスパーク”、つまりいかに感情に訴えかけられるコンテンツを提供できるかが重要になるとサム氏は話す。その事例として紹介されたのが、同社が香港で実施した母の日のキャンペーンだ。香港では家族のつながりが大切にされるが、一方で仕事が忙しく離れ離れになって暮らしている人も少なくない。こうした背景をもとに、ガンの闘病生活から復帰した母親に向けて、娘が映画館で家族の思い出の映像を流し、日頃の感謝を伝えるというサプライズ企画を実施した。

  • 香港で実施した母の日のキャンペーンは多くの消費者の心を掴んだ

 この様子を撮影した動画をウェブにアップロードしたところ、多くの香港の消費者から共感を得ることができ、約3分という長さにも関わらず、60万回以上が最後まで視聴され、100万人にリーチできたという。またエンゲージメントレートは業界平均の5倍におよび、加盟店の売上は3割増加したのだという。「重要なのは本物のストーリーを伝えること。共感をいかにしてトランザクションに繋げるかということだ」(サム氏)。

 またサム氏は、こうした消費者のインサイト(本音)をリアルタイムに取得してマーケティングに活用できることも、Priceless Engineの大きな強みだと話す。

  • 消費者の情報をリアルタイムに取得してマーケティングに活用できることも強みだ

 「許可を得て公開されているデータをもとに分析を行うが、これまで数週間かけていたところが数時間でできるようになる。たとえば、サービスのロゴを変える、ポスターの色を変えるといったテストの結果がすぐに分かるようになる。その分析結果から得られた情報をもとに、より大きなトレンドをとらえて、消費者により関連性の高いとされる特典などの情報が提供できる」(サム氏)。

 Priceless Engineは、「4カ月」と「9カ月」の2種類のプランを用意する予定だという。また、今後6~8カ月の期間でアジア太平洋地域において、7つのエンジンを構築したいとしている。

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