筆者は眠りから引き戻された。腕のスマートウォッチが振動している。そうだ、これはセットしておいた目覚ましだ。スマートウォッチに視線を向けると、時刻と天気予報が目に飛び込んできた。今日はいい天気になるようだ。昨晩来るはずだった電子メールも届いている。外出の準備はできた。しかしここでスマートウォッチのバッテリアイコンが赤く光っていることに気付いた。バッテリがほとんど空になっているようだ。うーん、寝る前に充電しておくべきだった。しかし、朝の目覚ましとして使うために、つけたままで寝ざるを得なかったのだ。
未来を身にまとうというのは、まだその未来を実現できていない現在の状況を甘んじて受け入れることと表裏一体だ。つまり、Googleの新しい「Android Wear」スマートウォッチでも、いくつかの妥協を迫られるというわけである。
サムスンの「Gear Live」は、同社がここ9カ月の間に発売した5代目のスマートウォッチにあたる(そう、5代目なのだ)。また、この製品はサムスンの「GALAXY」ブランドのスマートフォンとタブレットが作り出すエコシステムの枠を超えた最初のスマートウォッチだ。そして、Googleの新しいソフトウェアプラットフォームであるAndroid Wearが稼働する初めてのスマートウォッチの1つなのだ。この製品の見た目は素晴らしく、輝きを放つ瞬間もある。しかし、これはスマートウォッチとして購入をお勧めできるものではない。Android Wearを真面目に検討しているのであれば、待った方がよい。その理由はたくさんある。まず言えるのはソフトウェアだ。Android Wearはまだ開発途上の製品であり、実際にソフトウェアがどのようなものになるのかは分かっていない。次により重要な点として、Gear Liveとして初めて世に出されたこの製品が十分に素晴らしいという印象を与えられずに終わっている点が挙げられる。しかも、199ドルという手頃な価格であるにもかかわらずだ。
Android Wearとは、手首などに装着するウェアラブル機器向けの「Android」だ。本製品の場合には実際のところ、手首に装着する「Google Now」、あるいはカメラを搭載していない「Google Glass」の腕時計版と言った方が適切かもしれない。また、Android Wearは通知をプッシュし、音声コマンド(「OK, Google」というやつだ)を使え、装備されたタッチスクリーンを用いてメニュー上のコマンドやカードのタップやスワイプができるようになっている。さらに、Android携帯のアプリと連携して、そのアプリのスマートウォッチ用インターフェースや追加機能をロードしたりもできる。
「iPhone」ユーザーは蚊帳の外だ。しかし、Appleから発売されるとうわさされている「iWatch」も「iOS」に特化したものになるはずだ。AppleとGoogleの冷戦によってスマートウォッチのエコシステムはどんどんとすみ分けが進んでいる。Android WearはGoogle Glassのように音声コマンドで駆動されるとはいえ、このスマートウォッチにはカメラもスピーカーも搭載されておらず、マイクとタッチスクリーン、バイブ用のモーターが搭載されているだけだ。Android Wear搭載スマートウォッチは、丸い文字盤でも四角の文字盤でもよいものの、「Android 4.3」(開発コード名:「Jelly Bean」)以降を搭載したスマートフォンと接続する必要がある。これらはすべて同じOSが稼働し、見た目も同じソフトウェアが動作するため、大体において同じように動作するはずである。つまり、どのAndroid Wear対応スマートウォッチを入手しても、同じような使用感が得られるというわけだ。
とは言うものの、完全に同じというわけではない。ほぼ同時に発表されたLGのAndroid Wear搭載スマートウォッチ「G Watch」は、サムスンのGear Liveとは文字盤の形状が微妙に異なっている。
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