KDDIが6月25日に新料金プラン「カケホとデジラ」を発表したことで、主要3キャリアの新料金プランが出揃った。いずれも音声通話定額という点は共通しているが、パケット通信に関する仕組みには各社独自の工夫を取り入れているようだ。
改めて各社の新料金プランの仕組みを振り返ると共に、新料金の背景にある各社の狙いを確認してみよう。
従来、スマートフォンの料金プランは1000円前後でほぼ統一され、通話料も同キャリア間通話は時間限定で無料だが、それ以外は30秒20円(税抜価格、以下同様)かかるというのが一般的であった。だがスマートフォンの普及が進むにつれ、通話を主体に利用している人達を中心に「スマートフォンは通話料が高い」という声が急増。料金を理由にスマートフォンへの移行を拒むユーザーが目立つようになったのである。
そこで2014年に入り、主要キャリアは料金プランの見直しに着手したのだが、中でも大きなインパクトを与えたのがNTTドコモである。同社はiPhoneの投入の遅れなどからここ2~3年、携帯番号ポータビリティによる会員の流出が続いている。そこで会員流出に歯止めをかけるべく料金プランの大胆な見直しを図り、4月10日に新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」を発表したのである。
6月1日より提供を開始したカケホーダイ&パケあえるの大きな特徴の1つとなっているのは、月額2200~2700円を支払うことで、相手を問わず通話し放題となる基本料金プラン「カケホーダイプラン」。24時間相手を問うことなく定額通話ができることが、非常に大きなインパクトを与えたようだ。
そしてもう1つの特徴が、2~30Gバイトの6つのパケット定額サービス「パケットパック」の中から1つを選び(らくらくスマートフォンは除く)、複数の端末、もしくは家族間で分け合う、データシェアの仕組みとなる「パケあえる」。従来のように個人がそれぞれパケット定額サービスを契約するのではなく、家族の代表者となる親の回線にパケット定額サービスの支払いを集中させ、子回線はシェアオプション(月額500円)のみの負担で済ませることにより、家族全体の負担を減らしお得さを演出する仕組みとなっている。
加えてドコモは、25歳以下のユーザーに対して基本料を毎月500円割引し、さらに1Gバイト分のパケット量を毎月提供する「U25応援割」や、契約年数に応じてパケット定額サービスの料金を割り引く「ずっとドコモ割」という、2つの割引サービスも同時に提供している。これは、長い間iPhoneを提供していなかった影響で同社から離れた若年層を取り戻すと共に、パケあえるの主回線となる、長期契約傾向が強い年配の親世代の流出を防ぐべく、打ち出した施策といえるだろう。
カケホーダイ&パケあえるは長期契約の年配者を中心に据え、家族でまとめて契約することでお得になる仕組みだ。それゆえ単身者で、通話をあまりしないユーザーにとっては値上げとなる要因が多いことから、ネット上では新料金プランに対する批判も少なからず上がっていた。
だが蓋を開けてみると、通話定額の魅力が、年配層を中心とした通話主体で利用するユーザーの心を捉え、基本料金プランとなる「カケホーダイプラン/データプラン」の予約数が、予約開始から10日で100万を突破。6月18日時点では365万契約を達成するなど、ネットの評判とは裏腹に非常に好調な推移を見せたのである。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス