2年間で大きく変化したスマートフォン利用--ユーザー数や料金、コンテンツ

小笠原亮(ドコモ・ドットコム)2014年05月26日 15時57分

 このコラムは連載開始から1年を迎えたが、これまでモバイルに関連するさまざまなトピックスに対する見解を述べさせていただいた。残念ながら今回の掲載をもって最終回となるが、最後にわれわれが2年間に渡って調査してきたスマートフォンの利用状況に関する定点調査データを用いて、2年前から大きく変化した点について、見解を述べさせていただきたい。

 われわれのスマートフォン利用状況についての定点調査は2012年6月から実施しているが、この時期と現在を比較してまず気付くのが、スマートフォン保有者数の増加の勢いである。2012年6月においては、スマートフォンを保有するユーザーが主要3キャリア合わせて31.0%であったが、約2年後の2014年4月においては、52.4%にまで増加しており、早くも過半数を記録するに至っている。弊社調査はPCにて回答していただいているため、回答者属性を考えると比較的高リテラシー層における保有状況を示しているともいえるが、2014年末頃にスマートフォンユーザー数がフィーチャーフォンユーザー数を上回ると想定していた弊社見解よりも早いペースとなっており、今後さらに加速する勢いすら感じさせる。

 同時に、スマートフォンの購入において、どの機種から買い替えたのかという質問に対する回答を見ても、大きな変化が見受けられる。2012年6月には60.3%のユーザーがフィーチャーフォンからスマートフォンへ買い換えていたが、2014年4月にはこの比率が35.8%にまで下がり、逆にスマートフォンからスマートフォンへ買い換えたというケースが56.8%まで上昇した。今やスマートフォン購入経験者が増加し、「スマートフォンを買うのは2回目以上」といったユーザーが多数を占める状況へと変化しており、前述の保有状況と合わせて考えても、スマートフォンの流通数がいかに増えているかがわかる。

 スマートフォンに買い替えると、多くの場合月々の利用料金が上がるため、当然ながら利用料金にも変化が見受けられる。2012年6月時には、4000~6000円程が月々キャリアに支払う平均的な利用料金であったが、2014年4月には6000~8000円が主流という形へ変化している。パケット定額への加入がその主要因として挙げられるが、ユーザー側からしてみれば、今後いかに携帯電話の利用料金を抑えられるかが大きな関心事であるのは間違いない。

 ここに関連する事項として、ソフトバンクモバイルおよびドコモより新たな利用プランが相次いで発表され、注目を集めている。ソフトバンクモバイルが発表した、音声定額とパケット定額をセットにした「スマ放題」と、ドコモが発表した、通話がかけ放題で且つ家族間でパケットをシェアできる「カケホーダイ&パケあえる」の2つである。ソフトバンクモバイルは現在サービス内容を調整中のため開始時期未定、ドコモは6月1日よりサービス開始予定となっているが、通話とデータ通信という主要機能をお得に利用できる新料金プランが2つのキャリアから発表されたことは、月々の携帯電話料金が気になる多くのユーザーから高い関心を集めていることだろう。

 家族構成など、利用条件によってそのお得度も変わると思われるが、今や必携アイテムとなった携帯電話をいかに安く利用できるかという点は、今後どのキャリアを利用しようかという選択に大きな影響を与えるはずである。さらには、ケイ・オプティコムやイオンなどから格安で利用できるスマートフォンが新たに発売されるなど、ユーザー獲得競争が激化する様相を呈している。当然ながら利用条件、通信環境などはさまざまであるため、ユーザーは自分に合った条件をしっかりと吟味する必要があるが、サービス提供側としては、今後ユーザーに対していかにわかりやすくサービス内容、メリットを伝え、理解してもらえるかがこれまで以上に重要になるであろう。

 データ通信面に関していえば、Wi-Fi利用の状況も2年前に比べて変化している。2012年6月時においてWi-Fiを利用していると回答したユーザーは全体の39.1%であったが、2014年6月には48.6%と半数近くまで伸びており、積極的にWi-Fiを利用しているユーザーの姿勢が感じられる。また、自宅での利用はもちろんのこと、外出時においてもさまざまな施設でWi-Fiを利用できる環境が整えられてきていることから、Wi-Fiの利用は今後さらに伸びるものと想定される。そうなると、パケットを使わなくても良いケースが多々発生すると思われ、パケット定額プランの選択にも大きな影響を与えそうだ。

 一方、コンテンツ利用状況の変化はどうかというと、利用ジャンルなどについてはあまり大きな動きは感じられない。とはいえ、「LINE」に代表される無料通話・メールサービスはさらに利用を伸ばしており、これに影響される形でキャリアメールの利用減少が発生している。無料通話・メールサービスは今後さらに利用されることが予想されるが、このようなコミュニケーションサービスはその性質上、Wi-Fi環境の有無に関係なく、どこにいても利用するケースが多いと想定される。

 すなわち、パケット利用の増加につながりやすいサービスといえる。同様に、地図アプリなども外出先でWi-Fiを使わずに利用するケースの多いサービスと思われるが、パケットプランの選択においては、どのようなサービスをどのような状況で利用するケースが多いのかといった自分の行動条件をしっかりと把握しつつ、最適なものを選択したいところだ。

 今やスマートフォン利用が主流となりつつあるが、端末機能面での差別化しにくい状況の下、利用料金の差別化がキャリア選択に大きな影響を与えそうである。またここ2年で高騰してきた月々の利用料金が、各社が打ち出す各サービスプランの活用や安価なスマートフォンの利用によって実際に下降傾向を示すのかという点も注目である。ここ数年であっという間に変化したモバイルを取り巻く環境は、今後も大きな変化を遂げるであろう。今から2年後にどのキャリアが人気を集め、どのように使われているのか、非常に興味深い。

◇ドコモ・ドットコム
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