「HTC One M8」は、オスカーを取ったインディーズ映画の、大型予算を投じた続編のようなものだと考えてほしい。2013年に登場した「HTC One」は激賞を浴びて熱烈なファンを獲得したが、HTCの成長を支えるほどの顧客は獲得できなかった。HTCは今度こそ、この主力スマートフォンを大ヒットさせる必要がある。
それが成功する可能性はある。HTC One M8は、紛れもなく同社がこれまでに作った中で、もっとも印象に残るスマートフォンだ。先代と同じように、M8もさらに改善された美しいソフトウェアと高い処理性能を備えており、そのすべてが目を引くアルミニウム製のボディに納められている。
HTC One M8は、長年のライバルの最新スマートフォンであるサムスンの「Galaxy S5」と真っ向から勝負する必要がある。美的な観点から言えば、HTC One M8はそのエレガントさと直感的な「Sense」インターフェースで、Galaxy S5を大きく引き離している。さらに、M8にはサムスンがスマートフォンに詰め込んでいるさまざまなおまけこそないものの、本当に重要な機能については、処理速度から画面サイズ、解像度に至るまで、すべてGalaxy S5と互角の水準だ。劣っているところがあるとすれば、そのカメラと細部がややぼやけた写真だけだろう。
Galaxy S5のレビューが出てくるまでは、HTC One M8の方が優れていると断言するわけにはいかないし、M8が「iPhone 5s」の代わりとしてもっとも優れた「Android」スマートフォンだと言い切ることもできない。しかし、One M8が素晴らしいスマートフォンであり、投資するだけの価値があることは明白だ。
筆者は2013年に初代HTC Oneがモバイル市場に登場したとき、そのすべて金属でできた単一シャーシの洗練されたボディに衝撃を受けた。そのボディは頑丈で持ちやすいだけでなく、背面のスムーズな曲線とつや消し仕上げ、そしてその磨き上げられたエッジが、このスマートフォンをこれまでにない水準のぜいたくさを感じさせるものにしていた。これまで数多くのスマートフォンを扱ってきたが、率直に言って、これほど見た目が素晴らしい電話機を見たことはなかった。
デザインの面では、HTC One M8は今後登場するすべてのスマートフォンのスタンダードを作ったし、初代HTC Oneのデザインを継承していることは言うまでもない。この新しいHTC One M8は、とにかく美しいデバイスであり、実際、2014年に筆者が目にしたものの中で(Galaxy S5とソニーの「Xperia Z2」を含めて)、もっとも魅力的なスマートフォンだ。このHTCの最新機種は、先代のHTC Oneに比べると保守的なスタイルだが、その外見から感じられる高級感は変わっていない。
例えば、M8のベゼル(画面の端から端末の端までの間)は美しい鏡面になっており、手にしているのがぜいたくなスマートフォンであることを雄弁に語っている。ただし、ベゼルの光沢は、初代HTC Oneと比べると少ない。また、レビューで使用したM8の背面は、おしゃれなヘアライン加工のモチーフで丁寧に作られているが、陶器のようなでこぼこがあった初代HTC Oneに比べて、なめらかに仕上がっている。実際、このグレーのM8の表面はなめらかすぎて、湿り気を散らすのにはよくない。このため、先代のつや消しブラックの背面よりも、より滑りやすくなっており、脂も乗りやすくなっている。
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