ウェブ誕生から25年--生みの親T・バーナーズ・リー氏が語る次のステップ(後編) - (page 3)

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2014年03月19日 07時30分

 今後はセキュアなシステムをより使いやすくする必要があります。セキュアなシステムに優れたユーザーインターフェースを搭載するというのが、21世紀の技術です。

--私は信頼という考え方に興味があります。人は他者と交わるとき、ある程度の信頼関係を確立する傾向があり、それによって効率的な取引が可能になります。もちろん、あなたのお金が偽札ではないこと、あなたが学術論文のデータを捏造していないことを私は信じています。しかし、軍隊を国境の向こう側に派遣する人や、履歴書に嘘を書く人がいると、その信頼の代わりに何らかの認証システムが必要になります。この25年間で、ウェブ上での人々の交流が以前よりはるかに活発になったことで、世の中の意見が信頼の側に動いたとお考えですか。それとも、クレジットカードデータを盗もうとする犯罪者が大勢いることに人々が不安を感じて、その反対側に動いたのでしょうか。

Berners-Lee氏:人々の他者に対する信頼度が変わったとは思いません。今はスパムやフィッシングについて用心する必要があります。これらは、昔なら心配する必要がなかったことです。この世の中を生き抜くには、もっと疑い深くならなければなりません。その一方で、人々は以前よりも大勢の友達を信頼する傾向にあります。

 Pew Trustは米国人を対象にインタビューを行い、彼らの経験について詳しく尋ねました。平均的な米国人は、ウェブが社会的関係に役立っていると感じています。さらに、他者とつながっているという感覚をより強く持つようになりました。それはデータポイントです。

--インターネットのおかげで、われわれが今暮らす非常に国際的で社会的な世界が実現しました。今では大学時代のルームメートといとも簡単に連絡を取ることができます。人間はこうした地球規模の社会に適応できるようになっていると思いますか。それとも、人間は村のような規模に縛られているので、今の状況がいずれ、われわれに悪影響を及ぼすのでしょうか。

Berners-Lee氏:人間は自分自身の設計を変えることができます。簡単に連絡を取れるようになったとはいえ、気心が知れた者だけの少人数の集団も必要です。ソーシャルネットワークは今後、学習を重ねて、もっとニュアンスのあるものになるかもしれません。ソーシャルネットワークは、ユーザーが非常に少数の人々と共有を行っているときに親密な感じを醸し出せるように、少しずつ学習を重ねています。特にプライバシーに配慮するSgrouplesのようなソーシャルネットワークもあります。Sgrouplesでは、ユーザーはほかの誰とも共有しないようなことを共有できます。

 人間は新鮮な空気と緑の中で暮らすように作られていると私は考えます。人間は自然の中で暮らす必要があります。人間は昔、隣にいる人と一緒に野原を散歩していましたが、今は画面を介して友情を維持しています。すべての人間は緑の草木を見て、草木のある空間で暮らし、屋外に出て、太陽を見る必要があるように作られていると思います。テクノロジがそうしたことを排除してしまわないように気をつけなければなりません。

--ということは、ウェブの生みの親であるあなたが、時には画面から離れて屋外に出ることを勧めているのですか。

Berners-Lee氏:そのとおりです。

Tim Berners-Lee氏と同氏が生み出したウェブ(1994年撮影)。
Tim Berners-Lee氏と同氏が生み出したウェブ(1994年撮影)。
提供:CERN

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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