ウェブ誕生から25年--生みの親T・バーナーズ・リー氏が語る次のステップ(前編)

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2014年03月17日 07時30分

 (編集部注:ウェブ誕生から25年に際して米CNETが公開したTim Berners-Lee氏のインタビューを前編と後編の2回に分けて翻訳して公開します。後編は3月19日に公開されています

 25年前の1989年3月12日、Tim Berners-Lee氏は、移動の多い研究者たちが複雑な粒子加速器の研究を世界中からできるようにしようと、「すべてがリンクされた情報システム」を提案した。

 World Wide Webはそうした当初の期待をはるかに上回るものとなっている。

 Berners-Lee氏は、スイスにある欧州原子核研究機構(CERN)の研究施設を支援することを目指していたが、それよりはるかに広い範囲で使えるシステムを求めていた。それが広まったのは、当時は新しかったハイパーリンクというアイデアが後押しとなったからだ。ハイパーリンクによって、人々は大量の情報をウェブに供給し、情報を後から見つけるための場所と手段を得ることができた。

 「その結果できあがったものを使うのは非常に魅力的だったので、それに含まれる情報は臨界点を超えて増加した。そして、その方法の便利さが、さらに利用の増加につながった」(Berners-Lee氏)

 そうした正のフィードバックループが人気を博し、Berners-Lee氏はテクノロジの面だけでなく、社会的な面でも、世界規模の力を生み出した。同氏はウェブのテクノロジを監督するために、World Wide Web Consortium(W3C)も設立している。モバイルアプリにこだわり、塀に囲まれた庭の中にデータを隔離している開発者がいるとしても、ウェブのクリティカルマスに対抗できるものが今後現れるかどうかは定かではない。

 Berners-Lee氏は、自身のハイパーリンクデータシステムの第1段階を構築するのに、2人で数カ月かかったと示唆している。現在では、数多くの企業がウェブに頼っており、多数のプログラマーが毎日、ウェブの構築と再構築を行っている。そして数え切れないほどの人々が、ブログの投稿や猫の写真、バイラルビデオによって、ウェブの世界をさらに豊かにしている。

 World Wide Webの考案者Tim Berners-Lee氏
World Wide Webの考案者Tim Berners-Lee氏
提供:World Wide Web Consortium

 しかしBerners-Lee氏にとって、この仕事は終わりには程遠い。同氏のやるべきことのリストには、政府によるスパイ活動の抑制、個人のプライバシーの確保、人々が自らの狭い文化的関心の外側を見るようにすること、そしてウェブを文書だけでなく、ソフトウェアのためのより良い基盤として作り変えることなどが含まれている。

 Berners-Lee氏は米CNETのStephen Shankland記者のインタビューに答え、ウェブの次なる優先事項について自らの考えを語った。

--ウェブは素晴らしい成果を上げてきました。世界中に広まり、普遍的なパブリッシングシステムになっています。しかし、ウェブがまだその潜在能力を発揮していない分野はどこだと考えていますか。

Berners-Lee氏:今回の記念日は過去を振り返る機会ですが、将来を考える機会でもあります。エジプトの(前大統領Hosni)Mubarak氏によって切断されるまで、多くの人々はウェブについて全く考えたことがありませんでした。ウェブは不変のものではないと、人々は気がついたのです。Snowden氏による暴露でさえ、電話盗聴の問題だけが注目されがちです。今、誰もがウェブにおける人権の問題を考え始めています。次の25年間で求められるのは、どんな種類のウェブでしょうか。既に手にしているものに、つまり注意を怠ると起こりうる事態に、人々は満足しているでしょうか。

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