一般的に財務会計は過去の数字、決算を行うタイミングを1年から1カ月、そして日次に短縮することで限りなく現在に近づくが過去の数字である。コンビニエンスストアなどで使われるPOSから収集したデータを利用するPOS経営は販売時点、つまり現在の数字である。しかし、米国はビックデータを手段として活用し、未来を予測する経営に進化しつつある。
ビックデータを単なるバズワードとして捉えるのではなく、デジタルマーケティング経営の手段として位置付けることが、グローバルな競争には必要なことだ。ここでは過去に成功した経営手法にプラスし、「未来からの経営=デジタルマーケティング経営」をビルトインすることを考察する。
私は23歳のときに、当時のパソコンでビジネスアプリを開発する会社を設立したが、設立して5年ほど経過した時に、税務署から連絡があり、はじめて税務調査なるものを経験した。ソフトウェアを開発し、納品し、検収し、そこで売上を計上して回収するというお金の流れの中で、税務署の指摘は決算のタイミングで開発中のソフトウェアは仕掛在庫を計上せよ、というものだった。
仕掛在庫は、製造業では「In Process Inventory」というものだが、翌期から開発者は「作業日報」を毎日書くことになった。作業日報を書く手間と集計する仕事は、徴税当局(税務署)のためにはなるが、財務会計以外にポジティブなデータとして使えないかと考えた。そこで受注した仕事に「受注番号」を振り、開発の工程を大きく3段階に分け、毎日開発時間を入力することで、受注金額の工程毎の時間単価を算出したのである。
「どんな仕事をどのように受注すればいいか」
ということが、必然的に見えてきた。それは大きな仕事でもなく、小さなものでもない、ある条件下のあるタイプのものだった。このタイプの仕事は、属人性を考慮しても時間単価が飛躍的に向上し、スムースに仕事が運べることが分かった。そして、
「儲かるタイプの仕事を受注できるマーケティングを行うこと」
と、工程毎の効率を平準化することを並行して行った経験がある。
税務署や銀行、あるいはグローバルな資金調達のためのIFRSなど、過去の数字を計算することは重要だが、改めて書くまでもないが管理会計に結び付けることも重要だ。
過去のデータから一歩進んで、レジと商品に付いたバーコードを利用することで、販売された時点のデータを管理する経営をPOS経営呼ぶことがある。各経営の方法は、「過去からの経営=経営経理制度」、「現在からの経営=POS経営」と時間軸で整理できる。
「センサーデータを分析してどうするか? これまでデータ分析は『何が起きているか』と状況把握に使われていました。しかし今はさらに先に進み『何が起きるか?』とより的確で効率的な保守に役立てるように発展しています」
この2つ例を時間軸で整理すると、過去や現在のデータでなく、購入しそうな未来、何かが起こりそうな未来のデータから未来予測を行う、「未来からの経営」に米国は進化しているのではないだろうか。
今回のゴール従来の経営手法はその結果により正しい。米国は未来からの経営に進化しようとしているようが、まだ結果は出ていない。未来からの経営(デジタルマーケティング経営)が正しいかどうかは、それを実践し結果を出すことだ。
デジタルマーケティング経営の目的は、ドラッカーのいう「ビジネス(事業)=マーケティングとイノベーションによる顧客創造」のマーケティングの側面だけでなく、ウェブログなどのマーケティングデータがイノベーションの誘発に貢献できる仕組みをビルトインする必要がある。それは1980年代から1990年代に導入されたEUC(エンドユーザーコンピューティング)という方法が、データサイエンティストの道具になる必要がある。例えば、経営経理制度で考えると、計算する(解析する)対象データが「過去+現在+未来」に置き換わり、経理の役割がデータサイエンティストに置き換わることなのかも知れない。
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