朝日インタラクティブが12月10日に開催した、マーケティングを軸にしたビジネスイベント「CNET Japan Live 2013 ~全社員マーケター時代のビジネス戦略~」の講演レポートをお送りする。
オープニングキーノートを務めたのは米Twitterでアジア太平洋と米国、新興市場を担当するバイスプレジデント、Shailesh Rao(シャイリッシュ・ラオ)氏だ。
Twitterの戦略の柱は、テレビを見ながらツイートするという需要に焦点を当てる「テレビ×Twitter」を強化することだ。これについて、キーノート後、Rao氏に詳しく話を聞いた。
ユーザーがテレビ番組を見ながらTwitterをしているという実態を把握したことがあります。日本の62%のTwitterユーザーが、モバイルでテレビ番組についてツイートしています。われわれはそれを重視しました。
Twitterを使うことで、テレビをただ見るだけでなく、対話し、参加できるようになるのです。ハッシュタグやコンテストなどを使い、イベントに関するユーザーの声を表示できます。米国のスポーツ番組ESPNやCNNでは、画面の下に常にティッカーのような形で情報を流しています。日本ではNHKやテレビ朝日が実施しており、同じ事が起きようとしています。
Twitterはテレビ局と良い関係を結んでいます。テレビ局側も、視聴者の行動が変化していることを認識してきています。視聴者は、役者について語り合ったり、参加するなど、よりアクティブな行動をしたがっています。消費者がいろいろな価値観を持っていること、コンテンツが非常に重要であるということへの理解が進んでいます。
非常に良い影響を与えると考えます。われわれはテレビ番組やテレビ広告の影響力の大きさを信じており、Twitterがそれをさらに大きくできると考えています。
テレビ広告も変わっていくでしょう。従来通りの方法でテレビを見る人がいる一方で、別の多くの人がTwitterで番組のことを話題にしており、何割かのユーザーがリツイートしたりすれば、それはユーザーの裾野が広がるという効果をもたらします。テレビ局は制作したコンテンツをより多くの人々に届けることができるわけです。その意味で「アド on Twitter」はテレビ広告にも展開できるのです。
Twitterが、売上増につながることも分かってきています。Twitterとポッキーの連動キャンペーンを実施しました。1万人当たりの1日のポッキーの購入者は、キャンペーン期間前は非Twitterユーザーが39、Twitterユーザーは80だったのに対して、キャンペーン期間中は同89、同140にまで増えました。
増加率で見ると、非Twitterユーザーが2倍だったのに対して、Twitterユーザーでは4倍にまで増えたのです。
基本的にはあまり変わりません。ただ、日本がすばらしいのは、Twitterユーザーのエンゲージメントが高いこと、またツイート数の記録などで他国を上回っている点です。これは、従来のような、米国で作ったものを後から日本にも展開するというパターンとは異なっています。収益面、人材面を考慮しても、Twitterは日本を「イノベーションの中心であり、リーダーである」ととらえています。そこが、Twitterが他のグローバル企業と違っている点かもしれません。
例えば、緊急時にユーザーが重要な情報を入手しやすくするために作られたサービス「Twitterアラート」も、日本のチームの経験から生まれたものです。特に、東日本大震災での津波被害などを経験し、Twitterアラートが世界で需要のあるものとして、日本チームが認識したことがきっかけになりました。
消費者の行動から考えて、世界はよりモバイル化、リアルタイム化していきます。消費者の発信力は増しており、世界はより緊密につながろうとしています。コミュニケーションのプラットフォームはその中心になると認識されつつあり、その意味でソーシャルメディアの未来は明るいと考えています。特に、消費者の今後の行き先を考えた時、Twitterは良い位置につけています。
Twitterは今現在起きていることに関する情報にリアルタイムにアクセスできます。世界の誰とでも対話できます。このトレンドは続くでしょう。
広告主の視点から行くと、今後Twitterをいかに統合していくかがポイントになってきます。これまで、例えば私という1人の人間が、テレビを見て、雑誌を読み、新聞の契約をし、モバイルでも広告を見ていました。
今まではこれでもよかった。なぜなら、この15年の間「デジタル」はずっと勉強していたからです。既存媒体がある中で、実験段階にあったわけです。しかし、デジタルも成長しました。いかに従来型の広告手法を束ねていくかを本格的に考える時がいよいよ来たのです。
これは、私がTV×Twitterの戦略にパッションを持っている理由です。なぜなら、これはデジタルと既存メディアの戦いではなく、デジタルと既存メディアのパートナーシップの話だからです。これが広告の次章と言えます。
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