(編集部注:本稿執筆後に著者のMary Jo Foley氏は、そのフォローアップとして「More on Microsoft's SKU-morphic Windows vision」を執筆しています。その一部は、『マイクロソフト、次期「Windows」に複数のSKUを用意か』として翻訳され、12月10日に公開されています。こちらも合わせてご覧ください)
Microsoft幹部が先ごろ、このまま3種類の「Windows」を提供し続けるつもりはないと発言したことで、多くの憶測が流れている。だが、そうした憶測のほぼすべては完全な誤りだ。
MicrosoftのエグゼクティブバイスプレジデントであるJulie Larson-Green氏は先日、UBS Global Technology Conferenceの出席者に対し、Microsoftは3種類のWindows SKU(「Windows Phone」「Windows RT」「Windows 8.x」)をいつまでも提供するつもりはないと述べた。Larson-Green氏はMicrosoftが最終的に何種類のWindowsを提供する計画なのかは明かさなかったが、同社が「One Microsoft」(1つのMicrosoft)という使命を掲げていることや、2013年に統合OSエンジニアリングチームが結成されたことから、1種類ではないかとみる向きもある。
Larson-Green氏のコメントはWindows RTの廃止を意味していると主張する人もいれば、Windowsデスクトップの終えんを示唆しているのだと言う人もいる。また、同氏はWindows Phone OSが廃止されることを伝えようとしていたと主張する人もいる。
実際には、Larson-Green氏はそんなことは言っていない(ここにLarson-Green氏の発言が書き起こされているので、同氏が正確に何と言ったのか確認してほしい)。
では、Larson-Green氏の発言は何を意味するのだろうか。米ZDNetでブログを書いているSimon Bisson氏は先ごろ、それを「1つのWindows」と表現したが、厳密に言うと少し違うのではないかと思う。実際はもう少し多くのニュアンスが込められており、「1つのコアと多数のSKU」と言った方がいいだろう。Microsoftはその多くを「Windows」と呼ぶことになる。
Microsoftはこの新しいアプローチに対する取り組みを数年前から始めている。Microsoft幹部陣は2013年初頭に、「Write once, run on any Windows」(一度プログラムを書けば、どのWindowsでも実行できる)機能について公の場で話していた。
現在、Windows Phone 8とWindows 8、Windows RT、「Xbox One」OSの心臓部にあるのは「Windows NT」コアだ。これらのプラットフォームは(すべてではないが)一部のAPIや開発者ツールを共有している(Windows RT、MicrosoftのARMバージョンのWindows、ARMベースのWindows Phone OSの間で共有されているWindows APIは、今のところ全体の3分の1程度に過ぎないという話を聞いたことがある)。
Microsoftは2014年春にWindows Phone 8.1「Blue」をリリースして、「Blue」シリーズの製品提供を完了し、Windows Phoneで利用できるWindows APIを増やすという目標に一歩近づくだろう。Windows側では、Windows 8.1への補足的な(そして無料の)アップデートがそれに役立つはずだ。
その後、2015年春ごろに公開予定の「Threshold」(Blueに続く次期Windowsシリーズ)によって、スマートフォン、タブレット、PC、エンターテインメントコンソールで共有される共通のWindowsコアの利用範囲が拡大するだろう。その狙いは、すべてのWindowsバージョンがもっと多くの基礎的なインフラストラクチャを共有できるようにすることだ。これには、同一のファイルシステム、ドライバモデル、メモリマネージャ、アプリケーションプラットフォーム、アプリストア、サービスなどがある。
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