オンライン広告をリアルタイムに入札できる広告配信サービス「FreakOut」を提供するフリークアウトは10月25日、アジア展開の拠点としてシンガポールに子会社「FreakOut Asia Pacific」(FreakOut APAC)を設立し事業を開始した。
同社は、アジアでの新規顧客の開拓や、2012年4月にニューヨークに設立した子会社が抱える顧客、日本国内の顧客からのアジア対応のニーズに対応する役割を担う。代表は日本本社 社長室室長でもある三瓶直樹氏、カントリーマネジャーはMarijn Frederik Booman氏が務める。Booman氏は、スタートアップ企業や顧客企業での実務経験を持つ。
FreakOut APAC設立の検討を開始したのは、その半年ほど前。日本やニューヨーク、中国、東南アジアの国々からアジア対応に関する問い合わせが増加したことがきっかけとなった。すでにアジアに進出している日系の製造業、東南アジアでEC事業を展開している企業からの問い合わせが多かったという。
同社がシンガポールを拠点に選んだ理由は、アジアに進出する企業のリージョナル・ヘッドクオーター(地域統括会社)が同国に集中していたこと。また、アジア諸国へのアクセスが良いこと。同国には競合にあたるアドテクノロジ関連の企業がすでに数社いるが、日本人に対応してほしいという顧客企業からのニーズもあるそうだ。
FreakOut APACがまず注力するのはサービスのローカライズ。アジアならではのニーズを取り込みサービス改良を重ねたい考えだ。たとえば、日本では顧客層の拡大を目的とした施策が求められるが、アジアでは購買意欲の高い顧客をすぐにコンバージョン(購買や会員登録など)に結びつける施策に対するニーズが高い。それに対応すべく顧客をセグメンテーションする機能の強化などを検討しているという。
さらにもう1つ注力するのが、日本、ニューヨーク、シンガポールという3拠点間の社内コミュニケーションの円滑化だ。数カ月に一度の対面や、ビデオチャットによる定例の会議、グループウェアによるスケジュールやタスク管理などを整備し、国籍や言語、文化の異なる現地スタッフとの相互理解を促進する。
フリークアウトはこれまで、半自動化したDSPを利用した細かな広告出稿先の媒体選定やターゲット顧客のセグメンテーション機能などを強みとし、大手企業や広告代理店を中心に日本国内でシェアを伸ばしてきた。立ち上がり間もないアジアのマーケットでも日本と同程度の一定の市場シェアを狙う。
三瓶氏は「日本国内でのシェアはそれなりに高めることができた。アジア全域となるとカバーする国も競合するプレーヤーも増えるが、DSPマーケットに対して一定のプレゼンスのあるところまで持ってきたい」と語った。
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