11月22日の夕方、突如として日本のアップルストアでSIMフリーのiPhone 5s/iPhone 5cが登場した。SIMフリーとは“端末側からみて、周波数帯や通信方式が合っていればどのSIMカードでも動作する”ということだ。では、どういった人が買うと有利なのだろうか。
理由は追って説明するが、まとめるとこのようになる。
今回国内発売されたSIMフリーiPhoneはソフトバンクモバイル、KDDI、NTTドコモの3社に供給しているものと同等の仕様で、3社いずれも対応する。キャリアのエリアやサービスに不満があるなら、iPhoneの端末はそのままで通信事業者だけ乗り換え、次の通信会社のSIMを挿してそのまま使える、ということができる可能性がある。
今までも海外ではSIMフリーのiPhoneが販売されており、それを活用してドコモ×iPhoneという組み合わせで以前から使ってきた人もいる。また、旅行など海外でiPhoneを使う場合、国内の契約のままで国際ローミングをするよりも、現地のキャリアのプリペイドSIMを調達したほうが有利な場合もある。SIMロックがかかっていなければ、現地のSIMも周波数帯や通信方式が合っていれば使えるからだ。
そして、通信事業者(キャリア)の複雑な販売システムから逃れ、端末と回線を分離して自由にしたいと漠然と考えている人も多いだろう。分離すれば月額1000円以下の低価格SIMを使って安くiPhoneライフをと考えている人も多いかもしれない。
しかし、ちょっと待ってほしい。SIMフリーiPhoneは特定のキャリアを利用しなくていい代わりに現在の手厚いキャリアの優遇措置も受けられないため、買い方によっては損してしまうこともある。そこで、SIMフリーでマニアックなことをしたい、というユーザーは別として、「SIMフリーってお得なの?」と考えている人に向けて、注意点のまとめと、いくつかのケースでの料金比較をお伝えする。
16Gバイトモデル | 32Gバイトモデル | 64Gバイトモデル | |
---|---|---|---|
iPhone 5s | 7万1800円 | 8万1800円 | 9万1800円 |
iPhone 5c | 6万800円 | 7万1800円 | − |
まず、SIMフリー版を使う上で、注意したい点を記載しておく。今回、アップルから国内で売り出されたSIMフリー版のiPhone 5s/5cは、国内の3キャリアに納めているものと同等の仕様で、iPhone 5sが「モデルA1453」、iPhone 5cが「モデルA1456」となる。つまり、ソフトバンクモバイル、KDDI、NTTドコモで問題なく使える可能性が高い。また、イー・モバイルの1.7GHz帯のLTE網も含まれるので、契約やSIMサイズにもよるが仕様としてはイー・モバイルのSIMでも使えることになる。
それに加え、必要なプランやオプション契約する必要がある。ドコモであればXiプラン契約にする必要があり、プロバイダは「mopera U スタンダード」でよいが、auではLTEプランにプロバイダとして「LTE NET for DATA」が必要になる。
ソフトバンクモバイルのSIMについては、ネットでは「使える」という実験例が多数見られるが、残念ながらLTEの契約でSIMフリー端末向けの設定情報は公式に公開されていないため、公式には利用できないことになっている。
また、海外に持ちだし、現地のSIMで使う場合は、モデルA1453、モデルA1456の対応周波数帯や方式をアップルのウェブサイトなどで十分に確認してほしい。その場合の注意として、アップルのウェブサイトにも記載があるが、一部ではLTEに対応しない場合があるとしており、周波数帯が合っていても使えない場合があるので覚悟が必要だ。
次に設定だが、利用する各キャリア向けの設定は自分でしなければならない。不明な点のサポート窓口はアップルだけになり、自分である程度の対処ができないと使うことすら難しくなる。
MVNOを利用する場合は、大手家電量販店の店頭などで購入できるIIJmioやb-mobileをはじめ各社が海外版SIMフリーのiPhoneの利用情報を提供しており、今後は国内発売されたSIMフリー版についても細かく情報提供する可能性があるので心配は少ないだろう。
大手3キャリアで利用する場合は、わざわざSIMフリー版へ向けての情報提供をするとは考えにくいため、設定に苦労する可能性があることも踏まえておいたほうがよい。
なお、日本のアップルから購入するのではなく、海外でSIMフリー版を購入してきた場合はモデルA1453、モデルA1456ではないことが多く、国内のキャリアでうまく使えない場合や、設定にさらに苦労する場合があるので注意が必要だ。
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