Appleは米国時間10月22日、サンフランシスコのイエルパブエナ芸術センターシアターで開催の製品発表イベントで多くの新発表を行ったが、その中で最も興味深かったのは製品自体ではなく、積極的な価格設定という同社の最新の事業戦略だった。
「今日、価格体系に革命を起こす」。Appleのソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのCraig Federighi氏は、同社が最新の旗艦「Mac OS」を無料で提供することを発表する直前、このように述べた。Federighi氏の背後のスクリーンには、ぼんやりした光の後ろに「Free」(無料)という文字が表示された。この芝居じみたスライドアニメーションは、Steve Jobs氏が基調講演を取り仕切っていた頃から、Appleが基調講演のスライドで用いてきたものだ。
Appleは22日、薄型化と高速化を実現して改称された「iPad Air」、そして、「iPad mini with Retina display」を発表したが、この日の最大の話題はお金に関することだったかもしれない。つまり、同社が主力ソフトウェア製品の一部を無料で提供する決定を下したことだ。
Appleは「OS X Mavericks」のほか、「iLife」「iWorks」スイート(「Garage Band」や「Pages」といった主要アプリの刷新バージョン)も「iOS 7」搭載端末や「Mac」の新規購入者に無料で提供すると発表した。現在、Pagesや「Keynote」などのiWorkアプリには、Appleのアプリストアでそれぞれ20ドルの価格が付けられており、消費者にとっては決して少なくない金額だ。
今回の動きは、Appleがソフトウェア分野でより激しい競争に直面する中で発表された。ストレージやファイル同期機能を提供する「Google Drive」、ワープロ機能やコラボレーション機能を提供する「Google Docs」などが含まれるGoogleの生産性アプリスイートは、ユーザーの間でますます確固たる地位を築いている。また、モバイルハードウェア市場におけるAppleの最大の競合であるサムスンが市場シェアを拡大するにつれて、Googleの生産性スイートを試してみたいという「Android」ユーザーの気持ちも強くなっている。
Pagesには共同編集機能が追加され、iWorkアプリにはさまざまなデバイスの間で共有と同期が可能な新機能が搭載された。例えば、「iPad」でプロジェクトを開始した後、Macでその作業を続けることができる。
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