KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は7月30日、2014年3月期第1四半期の決算会見で、ソフトバンクが主張する総務省から同社グループへの天下りについてコメントした。
総務省は7月29日、2.5GHz帯(2625~2650MHz)の周波数の追加割り当て先として、KDDIグループのUQコミュニケーションズ(UQ)を認定した。UQでは、新規割り当てを受けた20MHzと現在使用中の30MHzを合わせた連続50MHzの周波数を活用して、10月末から下り最大110Mbpsの高速通信サービス「WiMAX 2+」を提供する予定だ。
UQへの割り当てが決まったことについて、田中氏は「UQがこれまでやってきたこと、また今回提案したことが評価されたものと思っており、私自身は非常に嬉しく思っている。また、UQはモバイルルータでビジネスを広げているが、KDDIとしても新たなWiMAX 2+をスマホなどに導入していきたい」とコメントした。
同周波数帯は、ソフトバンクグループのWireless City Planning(WCP)も割り当てを求めていた。また、周波数の割り当て先を決定する電波監理審議会の審議よりも前に、UQへの割り当てが決まったかのように一部で報じられていたため、WCP代表取締役社長の孫正義氏が総務省に出向いて、審査のプロセスなどについて抗議していた。
さらに総務省への抗議の際、孫氏はKDDIおよびUQの役員の具体名を挙げ「KDDIには総務省から続々と天下りがある。しかも、今回割り当てられる予定のUQには、ついこの間まで総務省の電波部長をしていた人が現職でいる。そういうことがまさに癒着、天下りの最大の弊害ではないか」(孫氏)と指摘していた。
総務省からKDDIグループに天下りがあり、今回の決定に影響を与えているのではないかというソフトバンクの主張に、田中氏は「当然関係ない。我々としては本当に優秀な方に会社の人材として来ていただいている」と真っ向から否定。UQへの周波数割り当ては、総務省による審査の結果によるものとした。
なお、ソフトバンクは今回の決定を受け、総務省を行政訴訟する準備を進めている。
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