総務省が、KDDIグループのUQコミュニケーションズ(UQ)に2.5GHz帯(2625~2650MHz)の周波数を追加で割り当てる方針であることを、日本経済新聞が7月25日に報じた。同周波数帯は、ソフトバンクグループの通信事業者であるWireless City Planning(WCP)も割り当てを申請しており、この2社の一騎打ちとなっていた。
WCPでは、周波数の割り当てが7月26日に開催される電波監理審議会(電監審)において審議する事項であるにも関わらず、あたかもUQへの割り当てが決まったかのように報じられていると非難。また電監審の開催日程は1週間前に公開されるのが通例であるとし、電監審の開催が前日になって決定されたのは異例の事態であると主張。7月25日に孫氏自らが総務省に出向いて、総合通信基盤局長に異議を唱え、その後報道陣からの質問に答えた。
2.5GHz帯の周波数については、すでにUQに30MHz幅、WCPに20MHz幅が割り当てられていた。今回追加で割り当てられる周波数は最大20MHz幅で、孫氏によれば両社にそれぞれ10MHz幅ずつ割り当てられる可能性もあった。また、WCPが申請を出す前に「我々が10MHz、UQも10MHzでいけばイコールフッティング(同等な条件)になるのではないかと総務省から提案され、我々はそのように(10MHz幅の割り当てで)申請した」という。
しかし、実際にはUQは20MHz幅の割り当てを希望。さらに、UQへの割り当てが決まったとする報道を受け、急きょ総務省に確認をとったと説明する。「我々も驚いて、審議会も開かれていないのに『出来レースで決まっているんですか』と聞きにいったら、(総務省から)『どうもそのようである』という感触を得た」(孫氏)。
そこでWCPとしては総務省に対して、電監審による公開ヒアリングを開催し両社の開設計画を説明する場を設けることと、7月26日に開催予定の電監審における割り当ての決定の延期を求めたという。
また孫氏は「そもそも国民の共有資産である電波を密室で、主観で数名の人間がサマリーシートだけをみて決定するプロセス自体がおかしい」と、総務省に集まった記者らの前で声を荒げ、今後は不服審判または行政訴訟を検討していることを明かした。
さらにKDDIおよびUQの役員の具体名を挙げ、記者らにそのプロフィールを配布した上で「KDDIには総務省から続々と天下りがある。しかも、今回割り当てられる予定のUQには、ついこの間まで総務省の電波部長をしていた人が現職でいる。そういうことがまさに癒着、天下りの最大の弊害ではないか。そこに正義はないのか」(孫氏)と指摘した。また、総務省から自社グループへの天下りについては「一切排除している」(孫氏)と強調した。
WCPの主張について、総務省に確認したところ「報道については日経新聞が書いたことであり我々は承知していない。割り当てについては審議が明日(7月26日)に行われるためそれまではお答えできない」と回答した。
また、UQは同社で天下りがあるという指摘に対し「(周波数の割り当ては)事実としてどうなるかは現段階では分かりかねる。また、ソフトバンクが取った行動は先行的に流れた何が根拠か分からない報道に対するアクションであり、それに対してコメントできることはない」とした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス