テレビに対する野心に関して、Googleは三度目の正直を願っている。
同社は米国時間7月24日午前、「Chromecast」を発表した。テレビに関するGoogleの最新の試みであるChromecastは、低価格のスティック型デバイスであり、HDMI端子に差し込んで、「Google Chrome」ブラウザを搭載するさまざまなスマートフォン、タブレット、デバイスで再生中の動画をシームレスにテレビに表示させることができる。
Chromecastはほかのデバイスでは解決不可能な問題を解決するとGoogleは主張しているが、実際にはそうでもない。同じ機能を持つデバイスは既に多数存在する。しかし、より低価格で、より革新的なChromecastという製品を発表することで、Googleは「Apple TV」をはじめストリーミングテレビ周辺機器すべてに対し、これまでで最も騒々しい威嚇射撃を行った。Googleは35ドルという価格のChromecastが勝利を収めると主張する。
Googleの「Android」、Chrome、アプリ部門のトップであるSundar Pichai氏は24日、サンフランシスコで開催の朝食会でChromecastを発表したとき、テレビは「家庭内で最も没入的な体験」であると述べた。Pichai氏によると、全世界のユーザーが1カ月に視聴するオンライン動画は2000億本以上で、北米ではNetflixとYouTubeのトラフィックを合わせると、ピーク時のダウンストリームインターネットトラフィックの半分近くを占めるという。
「家庭でオンラインメディアをテレビに表示させるのは非常に難しい」(Pichai氏)
確かにそのとおりだ。今までは難しかったが、それは主にGoogleに限っての話だ。
Googleが過去に二度、テレビ製品を試みて失敗に終わったことはよく知られている。「Nexus Q」は高価で、Googleのサービスのみに限定されていた。「Google TV」ソフトウェアには、複雑さや応答時間の遅さ、操作の難しさなどの問題があり、最近ではGoogleも関心を失っている。
こうした失敗のせいで、Apple TVや「Roku」といった競合のセットトップボックス(STB)はGoogleを押しのけて容易に前進することができた。例えば、Appleはこの1年間で99ドルのApple TVを530万台販売している。Apple TVは消費者がワイヤレスストリーミング機能「AirPlay」を利用するための最も人気のある手段になっており、Chromecastはこれを模倣したものだ。Rokuは4月、2008年に最初のプレーヤーを発売して以来、500万台のSTBを販売したと発表した。また同社は、80億以上の動画や音楽のストリームを配信してきたほか、750以上のチャンネルを提供していると豪語する。
さらに、Mobile High-definition Link(MHL)というテクノロジも存在する。携帯電話などの消費者向けポータブル電子機器をHDテレビやディスプレイに直接接続するものだ。同テクノロジの登場により、スマートフォンやタブレット、Chromeブラウザから無料のウェブ動画をストリームするスティック型デバイス(どこかで聞いたような気がする)が生まれた。「PLAiR」というデバイスだ。
MHLはRokuの「Streaming Stick」にも採用されている。
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