しかし、テレビストリーミングデバイスの市場には参入企業が多いが、革新的な新製品が登場する余地は今も残っている。そして、Chromecastには明らかな強みがある。35ドルのChromecastは、99ドルのApple TVはおろか約50ドルのRokuよりも安い。ほぼすべてのデバイスと互換性がある上、テレビの下のスペースを占拠することもない。Googleの主張どおりに動作するのであれば、PLAiRの普及を妨げてきた類のバグがあると批判されることもないだろう。
Raymond JamesのアナリストであるAaron Kessler氏は、「Chromecastの登場により、この種の機能を備えた携帯電話を所有しているなら2台目のデバイスが不要になるという世界が実現することになる」と述べた。
Apple TVは大きな成功を収めてきたが、広く普及している「iPhone」と比べればいまだに副次的な製品であるという事実は、これがニッチな市場であることを示している。2012年のApple TVの販売台数が530万台だったのに対し、iPhoneは1億2500万台だ。
メディアを接続するオプションは数多く存在するが、ストリーミング機能が欲しい人は、既にメインのテレビでそれを利用している。Googleが狙っている顧客は、メイン以外のテレビをポータブルデバイスに接続する安価な方法を求める人々なのかもしれない。
家庭のテレビに関するPichai氏のコメントは、Googleが標的にしているのが2台目、3台目のテレビであることを示唆している。Chromecastは35ドルなので、ストリーミング動画に熱中する人々は、Apple TVを1台追加購入するのとほぼ同じ出費で、家にあるメイン以外の3台のテレビにChromecastを装着することができる。
しかし、Chromecastの価格が安いことは、Googleの目標がデバイスの売り上げではないことも示唆している。Amazonは「Kindle」の価格を製造原価に近い水準(それ以下という場合もある)に設定しており、GoogleはそうしたAmazonの手法を踏襲しているのかもしれない。この低価格にはChromecastの二次的な収益源、すなわち同デバイス上のメディアやアプリに顧客を引きつけるだけの魅力がある。
同様に、Chromecastは「Google Play」ストアなど、Google独自のメディアサービスの利用を促す手段となる可能性がある。
Macquarie CapitalのアナリストであるBen Schachter氏はメモの中で、「Chromecastが広告でうたわれているようにシームレスに動作するなら、YouTubeやGoogle PlayといったGoogleのさまざまなデジタルメディアサービスの利用を大幅に拡大するだろう」と述べた。
Chromecastが宣伝どおりシームレスに動作するなら、広告やユーザーエンゲージメントに売り上げを頼るコンテンツプロバイダーにも恩恵があるかもしれない。
モバイル動画ストリーミングによってどこでも動画を視聴できるようになったが、そうした動画の大半は家庭で視聴されている。Nielsenが支援するCouncil for Research Excellenceが6月に発表した調査では、モバイルテレビ視聴の大半(タブレットでは82%、スマートフォンでは64%)が家庭で行われていた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
すべての業務を革新する
NPUを搭載したレノボAIパソコンの実力
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力