Microsoftにとって、米国時間7月11日は新たな時代の幕開けだった。少なくとも、またしても組織再編が行われた1日である。最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏は、製品ではなく役割を基準とするチームの再編に着手した。Ballmer氏は、Microsoftは1つの戦略に注力し、共通の目標を軸にこれまで以上のコラボレーションと機敏さによって連携を図っていかなければならないと強調する。
もちろん、1つの戦略と共通の目標というのは幅広く野心的なものであり、ほかのテクノロジ企業のものとそれほど変わらない。
「これから当社の戦略の中心となるのは、人々が最も重視するアクティビティに関して、家庭や職場、モバイル環境において、世界中の人々にさまざまな機能を提供する個人向けおよび法人向けのデバイスと製品のファミリーを開発することだ」。Ballmer氏は11日、Microsoftの従業員に宛てたメモでこのように述べた。
今後、何カ月にもわたって答えが出ないであろう疑問は、今回の再編によって(たとえ活力を徐々に奪っていく社内の縄張り争いが減ったとしても)、大規模で破壊的な革新、製品開発の加速、Microsoftを支持する新規顧客の獲得が促進されるのかということだ。
Microsoftは数カ月以内に大規模な革新を行うことを約束している。Microsoftの最高執行責任者(COO)であるKevin Turner氏は10日、同社のWorldwide Partner Conference(WPC)の基調プレゼンテーションで、1万5000人の聴衆に対し、Microsoftの本質はさまざまな革新を世に送り出すことだと述べた。
「Microsoftに賭けた人は、『革新はどこに行った』と疑問に思うことがなくなるだろう。今後の課題は、革新性をいかに維持していくかということだ」とTurner氏は言う。さらに同氏は、Microsoftは人々が追いつけないほどの速さで革新を提供しており、7月1日から始まったMicrosoftの新会計年度は同社の38年の歴史で最も大きな革新が行われる1年になるとも述べた。
Microsoftはこれまでも、企業が新技術に投資したり、それを導入したりするよりも速いペースで革新を行ってきた。多くの企業は現在、大昔の「Windows XP」から、「Windows 8」ではなく、古くなりつつある「Windows 7」への移行を進めている。消費者向けテクノロジは状況が異なり、この5年間でAppleやGoogle、サムスンなどがスマートフォンとタブレットの革命に着手してきた一方で、Microsoftは運転席で眠りに落ちてしまっていた。法人ユーザーがオフィスに持ち込んでいるのは「iPad」で、Microsoftの「Surface」タブレットではない。
Microsoftの最近の最も大きな革新はWindows 8だ。同OSは数十年前に登場したWindowsの記念碑的な新バージョンであり、Microsoftの最新製品ファミリーのほぼすべてのデバイスとサービスで使われている。Windows 8はMicrosoftにとって大きな前進だ。また、PCとサーバではなく、デバイスとサービスの世界を受け入れるのに不可欠な基盤である。Ballmer氏が6月26日に発表した「Windows 8.1」は、8月にリリース予定の極めて重要なアップデートで、Windows 8が2012年10月に発売されたときにユーザーが訴えた多くの不満に対応する。しかし、これまでのところ、Windows 8とそれに関連する「Windows Phone」プラットフォームの普及はあまり進んでいない。
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