IDCのアナリストであるHilwa氏は、Androidアプリを開発する場合には複数のバージョンを網羅しなければならないが、Appleアプリの場合はプラットフォームが1つしかないこと、またAndroidアプリショップの数は3けた台にのぼるが、Appleの場合はApp Storeが唯一の選択肢であることを指摘している。Appleの顧客がコンテンツとアプリに最も多くを支払っているのはそのためだと同氏は語っている。
しかしApp Storeが抱えるアプリ数が100万件に近づく中で、そこにあるのは、スポットライトをめぐる闘い(勝つことはほとんどない闘い)の場だ。
Derek Lamberton氏は、自分のアプリや同様のほかのアプリは、「山積みにされたアプリの中に紛れてしまう」と語る。独立系アプリクリエーターであるLamberton氏が経営するBlue Crow Mediaは、シティガイドアプリが専門だ。最も売れたのは、「London’s Best Coffee」で、このアプリはフード/ドリンクカテゴリで常にトップ10にランクインしている。
「現在のところ、わたしのアプリはすべて、発売時にはトップ10に入る。しかしソーシャルメディアで真剣に宣伝をしない限り、新しいユーザーを獲得するのは本当に難しい」(Lamberton氏)
たとえ非常に注目されたとしても、ハロー効果は短期間しか続かない。The New York TimesはLamberton氏の「Craft Beer New York」というアプリを2度取り上げた。その翌日は、このアプリの販売は急激に上昇した。しかしいったん250ダウンロード程度まで上昇した後は、いつもの1日5~10件のダウンロードという数にあっという間に戻ってしまった。
「そういうことは何度もあった。開発者がダウンロード数を公表したがらないのは、恥ずかしいからだと思う。大人気のゲームを除いては、大きな利益は得られない」(Lamberton氏)
Lamberton氏の抱える問題は、AppleがApp Storeの次の5年に進んでいく中で、自らの成功の犠牲になる可能性があることを示している。
PandoraのConrad氏は、App Storeは大きくはなったが、「店の通路をぶらついて」アプリを探すという方法は、今後はうまく機能しないと語る。同氏によると「先を見れば、App Storeにおける大きなチャンスは、商業的な売上ランキングベースのブラウジングモデルを越えて」、関連度の高いものを検索することに移っていくという。
2012年にAppleはアプリ検索と発見の企業であるChompを買収したが、結局は数カ月後にひそかに閉鎖した。Chomp自体は、AppleのApp Storeのための代替的な検索ウェブサイトで、その後GoogleのAndroidプラットフォームにも対応した。Chompではアプリの名前ではなく、機能に基づいて検索するようになっていた。この買収は、アプリ発見機能の向上の期待をかき立てたにもかかわらず、AppleがChompの検索ツールをApp Storeに統合することはなかった。
結果として、ユーザーは自分の希望にぴったりのアプリを探すのに苦労している。そして開発者は、Facebookのような名声か、多額のマーケティング資金に恵まれていない限り、ユーザーを見つけるのに苦労する。
Appleからこの件に関するコメントは得られなかったが、AppleのiTunesの責任者であるEddy Cue氏は6月に開催されたWWDCで、Appleはアプリ発見機能の向上に取り組んでいると発言している。同社は、親が子ども用アプリを見つけられるように、年齢層に基づいてアプリを探す機能を発表している。また、スマートフォンが位置している地域で最も人気があるアプリを探す「Apps Near Me」という機能も披露している。
しかしそうした改善も、Appleが以前からアプリ発見に使ってきたのと同じものに頼っている。人気度だ。
GartnerのBlau氏は、無名だというだけで苦しんでいるApple界のアプリを助けるために、Appleはほとんど何もしておらず、Appleの内側から変化を起こす必要があると述べている。
「これはAppleにしか解決できない問題だ」(Blau氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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