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アーティスト視点で考える次世代のオンラインコミュニティ講座 - (page 3)

矢野悠貴(ループス・コミュニケーションズ)2013年07月04日 07時30分
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プレミアムなコンテンツ

 コミュニティ形成の必要性が高まっている背景には、楽曲のリリースを通じて初めてファンと接点を持つという時代の終息がある。アーティストは、リリースタイミングにおけるプロモーションで楽曲を売るのではなく、コミュニティを魅力的なものとし、そこでの関係を構築し、コミュニティ内でさまざまなコンテンツを販売していくようになるだろう。Lady Gagaが目指すコミュニティの在り方もまさにこれに他ならない。ソーシャルメディア上でいくらファンを集めても、そこから購買に結びつくのはごく一握りであるという課題からスタートしたコミュニティ形成は、プレミアムなコンテンツの販売という取り組みをして1つのゴールが見えてくる。

 まだこれからの部分ではあるが、例えばAKB48が劇場公演のオンデマンド放映というコンテンツを、1公演あたり525円、もしくは月額見放題の場合は2980円で購入する仕組みを持つように、プレミアムなコンテンツの販売をこの場で実施することが求められている。

コミュニティを支えるメッセージ

 最後に、こうしたコミュニティを支える最も大切なものは何かを考えてみる。それは、アーティストのメッセージであり、共有される価値観である。アーティストの持つ世界観、ファンに伝えたいメッセージこそがコミュニティの基礎であり、作品そのものが核をなすのではない。

 作品がヒットすることは必要なことではあるが、強固なコミュニティ形成の十分条件ではない。強固なコミュニティには、明確なメッセージや価値観が必須である。共感がコミュニティをつくる。そのメッセージを体現する存在としてアーティストがいて、コンテンツとして映像や楽曲、各種グッズなどのアイテムがある。

 アーティストから発信されるメッセージとは、アーティストがアーティストたり得るものであり、単一の作品に込められた想い、例えば「この曲にはみんなを勇気づけたいという想いが込められています」といったこととは異なるものだ。Michael Jackson、Madonna、そしてLady Gagaと、アーティストが発信してきたメッセージは、個別の作品のセールスを押し上げるだけではなく、時に文化的なムーブメントを生み出すパワーを持っていた。Lady Gagaは、これまでの歌姫のステレオタイプとは異なるものを持ち合わせ、「ありのままの自分を愛して表現することがかっこいい」といった本人の信念が、そのアーティスト活動に表れている。だからこそ、Little Monsters(Lady Gagaファンの呼称)はその価値観を共有することで、つながりを感じ、結果として強いきずなで結ばれたコミュニティを形成するに至っているのだ。

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矢野悠貴
株式会社ループス・コミュニケーションズ
芸能プロダクション・エイベックスにてアーティストのマーケティング及びマネージャーを担当。世界各国のアニメフェスに数多く同行し、クールジャパンの現場を体感。アーティストとファンのコミュニケーションのため、早くからFacebookやTwitterアカウントを活用してきた。現在はソーシャルメディアの活用に関する企業様向けのコンサルティングの他、講義やセミナー等も行っている。

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