「経営チーム、どうやって作った?」--グリー、サイバー、ミクシィの本音 - (page 2)

岩本有平 (編集部)2013年05月24日 19時13分

ミクシィ新体制までの経緯

岡島氏:ミクシィも笠原さん(創業者で代表取締役の笠原健治氏)体制でずっとやってきた。その後朝倉さん(新社長に就任する執行役員の朝倉祐介氏)も川崎さんも取り込まれて梁山泊のようになっている。その背景は。

荻野氏:先ほどあった「成長はすべてを癒やす」というのはありがたいこと。そこは目指していく。一方で我々は成長の踊り場を迎えている。


サイバーエージェント取締役人事本部長の曽山哲人氏

 そのとき何が起こるのかというと、「社内を向き始める」ということ。端的に言うと足の引っ張り合いが出てくる。ベンチャーでも経験すると思うが、いろんなひずみが出てくる。

 私も2010年初頭に買収によってミクシィに入社した。まさに踊り場を迎えようとしていた時期だ。ベンチャーで上だけ見ていた身としては、環境が「独特だな」と思った。

 ファイティングポーズをとって「世界を目指す」と言ったり、役員が「常に前へ」というような会話が少ない、またはほとんどない。

 なので外向きに戦える人でトップを構成している。これだけユーザーを抱えており、資源もある。外を向かないとユーザーにとっても社員にとってももったいない。外を向けばまだまだ大きくなっていける、となって買収を進めている。


ミクシィ執行役員 クロスファンクション室長の川崎裕一氏

川崎氏:朝倉にしても荻野にしても私にしても、買収されてボードメンバーができるのはあまりない。また一方で笠原は「Find Job !」をはじめとした日本有数のシリアルアントレプレナー。起業家経験者がボードに居る、これほどのことはない。

 起業家はサービスへの愛があるのは当然。これに加えて、「(資金繰りに苦戦して)通帳で飛び起きた経験があるか」というのも大事。「自分ごと」として経営、スタートアップを学んでいるのはすごくいいことだ。

 社員はみんなmixiが好き。ただ1つ反省すべきは野望、大きい挑戦が欠けていたこと。これからスマホアプリを作っていくということはやはりチャレンジだ。笠原は日本最高のシリアルアントレプレナー。起業家を輩出することに期待でき頼もしい。(mixiのユニット制のトップである)「ユニットリーダー」も、笠原氏を「頼もしい」と言う一方で「ライバルだ」としている。

経営陣はいつ辞めるべきか


ミクシィ取締役 執行役員 経営推進本部長の荻野泰弘氏

会場にいたヤフー副社長兼最高執行責任者の川邊健太郎氏からの質問:あと何年くらい今の立場をやろうと思っているのか。

田中氏:自分がやっていることがダメだと思えば辞める。未来永劫やるとも、明日辞めるとも思っていない。会社のため、世の中になるのか?ならないと思えば辞める。

山岸氏:すごく難しい。ソーシャルゲームをやっているときに、「自分が向いていない」と思って、(取締役である)吉田大成に頼んだ。それで仕事がないと思ったあと、2012年は(コンプガチャ騒動で)結構大変だった。創業副社長のロールモデルは少ない。

 うちは田中が「サービスも分かるし、経営も分かる」と言っているので(笑)。私がやるのは誰もやりたがらない、人に嫌がられる仕事をやろうかなと。(田中氏の)補完的というのも違うかも知れないが。

田中氏:(山岸氏は)会社を作って成功した要因の1つです。

日高氏:本当に答えがない。でも本当にしんどいので(笑)。ノリで藤田に誘われて片足を突っ込んで15年。ネット業界もサイバーエージェントも大きくなった。でも自分では仕事には向いてないところもある。いつでも辞められるから、辞めるまでやる。

曽山氏:CA8で役員になった。会社の成長角度と自分のそれを比べて、自分が下回ったらやめようと思っている。他の7人の役員より成長しないと意味がないと思っている。またCA8は2年ごとの任期があるだけではなく、「あした会議」という役員が新規事業などを発表する場がある。役員の順位がランキングで出るので辛いが、そのおかげで新事業が生まれている。

荻野氏:大前提として、自分から逃げる気は絶対ない。火中の栗を拾いきる自信はある。その大前提の上で、3年は区切りと思っている。ベンチャーでも、10年間何となく営業利益1000万円で生きながらえるという方はいないと思う。イグジットが見えないなら(役職を)下りるべき。3年後に成長していなかったら考える。

 ミクシィの年間ランニングコストは100億円。つまり毎日3000万円ずつ燃やしていることになる。四半期で20数億円使っているので、それ(成長がない)なら居る価値はない。

川崎氏:(ミクシィが)会社を買収して経営チームに入れてもらったのはまだ恩返しできていない。僕は事業を任せてもらったのでそれはやる。ミクシィという会社の価値観と一致して、事業も収益も作っていく。それでボードとして見劣りしたら辞める。

社長の成長、どこで気付くのか

会場にいたライフネット生命保険取締役副社長の岩瀬大輔氏からの質問:社長がぐっと成長したと思ったタイミングはいつか。

山岸氏:創業から社長だった人と、あとから社長になった人とでは違うが、会社は社長の器以上には大きくならない。会社が大きくなる中で田中が変わってきた。

 一番最初に変わったと思ったのは、社員100人くらいの頃だ。朝会で全社に向けてしゃべるようになった。だがそうなると社員は「話がつまらない」と僕に言ってきた。

 それを本人が知っててか知らずにか続けていたが、半年くらいしたら朝会でドッカンドッカン笑いを取るようになってきた。本人が裏で練習していたのかは知らないが、自分を変えようとしているのだなと思った。

田中氏:練習はしていないが、楽天で三木谷さんが朝会で話をしていた際、隣の席の人間と「浩史、つまらねーよ」と話していた。なので、(朝会で社長の話を聞く)気持ちは分かることもあり頑張っていた。

日高氏:藤田自身がブログでも書いているが、「自分が会社で一番成長した」と言ってはばからない。その結果会社も成長している。

 藤田は答えを見出せないとき、自分で決めてやりきることがあった。先が見えない決断を、退路を断ってやりきる。それは成長の機会だ。そんな社長の姿を見て、私もソーシャルゲームをゼロからやった。そんな風に会社ができてきた。

川崎氏:はてなの時も副社長をやらせて頂いて、ビジネスサイドの業務をやっていた。はてなは創業の頃は受託の会社。それを広告モデルに変えて成果を出していった。

 ある日、(はてな代表取締役の近藤淳也氏に)「川崎さん、副社長頼む」と言われた。彼は伸ばせそうな人を伸ばそうとできる。またシリコンバレーに行って、その後京都に行った。京都でも優秀な学生を囲ってチームに生かすといった判断をしている。

 Kamadoが2012年12月に買収され、1月にミクシィに入った。朝倉は最初に会ったときから「頭が切れる人だな」と思ったが、今回の体制があって、決算説明会後に社内でエンドレスで(社員との話し合いを)やろう、となった。偉そうなのかも知れないが、そのときの語る力が、最初会った4カ月前から見ても——もちろん覚悟はあったと思うが——すごいと思った。

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