6月の株主総会を経て、創業者である笠原健治氏から執行役員の朝倉祐介氏へ代表取締役社長を交代すると発表したミクシィ。発表の同日開催された決算説明会では、「SNS『mixi』内外での収益拡大」「外部事業の積極投資」「アントレプレナーの輩出」の3つの変革に今後取り組むとした。自らが設立した「ネイキッドテクノロジー」の買収により2011年にミクシィに参画した“新しい血”はミクシィをどこに導くのか。朝倉氏に聞いた。
相当長い時間をかけて準備してきました。笠原自身はユーザーファーストを打ち出し、ユニット制を敷いたあたりから次の布陣を考えていましたし、私も相談を受けていました。
同時期に私と松岡(取締役最高技術責任者となる松岡剛志氏)が執行役員になり、1月に川崎(取締役最高事業責任者となる川崎裕一氏)を社員に迎えることができました。今だったら変われる、今しかないという準備が整ってこの時期の発表となりました。
“つながり”という価値観をコアにした企業グループを作っていきたいと考えています。mixiはその中核になりますが、toB(法人向け)の事業だって、オフラインの事業だってやっていきます。
直近はやはりmixiで取り組む課金事業が主になってくると思います。ですがmixi規模、売上高で120億円程度のサービスを複数持つ企業体に成長しないといけません。
また、どの時点をゴールとして置くか、mixi事業とはネイティブアプリを含めてどこまでとするかということで定義も変わりますが、ゆるく「mixiの輪が広がる」というものにしていきます。ただし桁を超えた成長をしたいと考えているので、mixiに続く事業を打ち立てていきたいと考えています。
そういう意味では、笠原自身もサービスをゼロから成功させてきた人間であり、今後彼自身も新事業に取り組んでいきます。彼が作っていく事業も非常に楽しみですが、彼のような人の背中を見ながら事業ができる、ということが社内にもたらす波及効果も期待しています。
100人スタッフがいて、100人同じ方向を向いているということはあり得ません。2012年夏からユニット制やイノベーションセンターの設立などを進めましたが、ものすごい反発もありました。
ですがこれは絶対に通らないといけないプロセスです。人間誰しも変化は怖いものです。ですが、同じことをやっていれば成長できるかというとそういう状況ではありません。「変わらないといけない」と訴えてきました。
そういった状況から1年を経て、ユニット制のリーダーである「プロダクトオーナー」や新規事業のメンバーが背中を見せていると思います。まだまだ収益でmixi規模になっているとは言えませんが、そういった「背中を見せる人間」をいかに作るかが大事だと思っています。
今は非常に増えてきました。特に若いメンバーは面白いと思っています。これまでどおりのことをしていて大きな成長曲線が描けないことはみんな理解していますし、これまでの資産を使っていろんなアクションができるとテンションが上がっている状態だと思います。
mixiの事業については、ユーザーファーストという考えが非常に重要であり、同時にこの価値観は社内に浸透していると思っています。
ですので、ユーザーの方にとって目障りなものを進めていくということはやりません。リサーチに関しても「やりたい方はご利用いただければ」ということです。(DSP事業の)「Vantage」に関しても、ユーザーのセキュリティ面をケアしていこうときっちり見ています。外から入ってきた人間としては、ものすごく高い倫理観を持っていると思っています。
今までの自分たちの資産をもっと収益につなげていこうという意味では「(ミクシィは)変わった」と言っていいと思います。ですがそれはユーザーの方にとって不都合な状態を作るということではありません。また、新しいサービスが新たにmixiのユーザーを連れてくるというようなものだと思います。
大きい資本を集めて会社を作るというよりは、都度ミクシィからお金を入れることになると思います。ファンド形式で外から資金を募るということは考えていません。
同社は当初私が代表を務めます。社外からも人を集めているほか、ミクシィの経営企画室のメンバーが取り組んでいきます。これまでのミクシィに居なかった異質な人たちを集めています。
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