ある会社が新しいフレームワークやサービスを数多く開発するからといって、開発者が直ちに集まってくるという保証はない。最近のMicrosoftはこのことをよく理解している。同社は忠実な開発者を囲いの外に出さないようにしながら、Microsoft系以外の開発者を新たに取り込もうとしているところだ。
Microsoftは、成長しつつある同社の新しいテクノロジを開発者が(うまくいけば)受け入れてくれるのをただのんびりと待つのではなく、積極的な手段に出ると決めた。「Build 2013」開発者カンファレンスを1カ月後に控えた米国時間5月13日、Microsoftは同社のDeveloper and Platform Evangelism(DPE)部門内に新しい「ディープテック」チームを立ち上げた。この新しいチームの任務は、社外のトップクラスの開発者と協力して、Microsoftプラットフォームを基盤とする次世代アプリケーションを構築することだ。
2001年にDPE部門が発足したとき、この部門は「Microsoftプラットフォーム」の調整と啓発活動を行うことになっていた。当時、Microsoftプラットフォームと言えば主に「Windows」と「.NET Framework」、および関連ツールのことだった。
最近では、Microsoftがソフトウェアベンダーからデバイスとサービスの企業へと変化するように取り組む中で、「Microsoftプラットフォーム」の範囲はかなり広くなっている。
最近設置された、技術的なエバンジェリスト活動とデベロッパーリレーションのチームを指揮するJohn Shewchuk氏は、「『プラットフォーム』は現在、われわれの製品すべてにまたがる機能の集合を指す。(われわれの仕事は)開発者がこうしたテクノロジとソリューションをつなぎ合わせるのを手助けすることだ」と語った。
「開発者」も、Microsoftにとって以前よりもはるかに幅広いターゲットを指す。DPE部門の初期には、開発者というのは専門知識を持ったフルタイムのプログラマーのことだった。Microsoftの新しいディープテックチームがターゲットとするのは、消費者向け、企業向けアプリケーション、あるいはその両方を対象とするアプリケーションを書くすべての人々だ。具体的には、新興企業や企業顧客、消費者および企業向けアプリを開発するトップクラスの独立系ソフトウェアベンダー(ISV)が含まれる。
開発者はMicrosoftのツールボックスから選んだテクノロジを組み合わせることができるが、その中には10年前、あるいはわずか数年前には存在しなかったテクノロジも多い。「Windows Azure」テクノロジや「Bing」プログラミングインターフェースおよびデータセット、「Windows 8」と「Windows Server 2012」の基礎となっている「WinRT」フレームワークなどがそうだ。Microsoftの次世代「Xbox」や「Kinect」、「Windows Phone」「Surface」、Perceptive Pixelのマルチタッチディスプレイなどが、こうしたテクノロジのターゲットとなる。
「ここは遊び場だ。Microsoftのあらゆるビジネスグループから集まってくる仕事に取り組むことになる。ギークの天国のような場所だ」(Shewchuk氏)
Microsoftの幹部によれば、こうした種類のディープテックチームを作るというアイデアは、2012年10月にMicrosoftのベテラン社員であるSteve Guggenheimer氏がDPE部門を率いるために戻ってきて以来、次第に広まってきていたという。Guggenheimer氏は、Server and Tools Business担当のSatya Nadella氏の協力と、最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏の承認を受けて、広範囲にわたる専門分野の技術レベルの高いエバンジェリストを数人採用し始めた。
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