コカ・コーラ、自販機連動ARアプリを配信--魅力的な購買体験を目指す

 日本コカ・コーラは4月25日、iPhone、Android端末向けのARアプリ「自販機AR」の配信を開始。自動販売機(自販機)そのものをARマーカーとして、スマートフォンと連動した取り組みを行っていく。

 この自販機ARでは、自販機自体のデザインや製品サンプルをARマーカーとしているのが特徴。自販機ARをインストールしたスマートフォンを、消費電力を削減した「ピークシフト自販機」に描かれている白クマのポーラーベアにかざすと、ピークシフトの特徴を伝えるポーラーベアのアニメーションが流れる。

  • ピークシフト自販機。4月半ばの時点で1万1000台が設置されており、2013年中に2万5000台の設置を目指しているという

  • 自販機ARを立ち上げ、ポーラーベアにかざすとアニメーションが表示

 ほかにも自販機ARが自動的に時間(朝、昼、夜、深夜)と、その場所の天候(晴れ、曇り、雨)を識別し、その時々の時間と天気によって変化した映像が見られるのも特徴。現在のところ、ポーラーベアがその時間と天気にあわせたアニメーションが上映され、さらには深夜の時間帯で北極のオーロラの出現の有無という、希有な天候の変化を自動識別する珍しい仕組みも取り入れられている。

  • 雨の日であれば、雨が降っているアニメーションが上映

  • オーロラのある日の深夜は、ポーラーベアの夢の中にオーロラが表示される。年に数日しかないという

 また、並べられている製品サンプルのラベルにスマートフォンをかざすと動画映像が表示され、さらにキャンペーンページへの誘導が行われ、タップするとダイレクトにウェブサイトへ飛ぶ仕組みも導入。現在は「コカ・コーラ」と「コカ・コーラ ゼロ」の製品サンプルにかざすと、放送中のテレビCMが流れ、その後にブランドのFacebookページが表示される。

  • ラベルにかざすと、テレビCMの音と映像が流れる

  • コカ・コーラのFacebookページへ誘導する表示が行われる

自販機ビジネスは、在っても良いと認められ、在って欲しいと望まれること

中里泰雄氏
中里泰雄氏

 今回の自販機AR導入の背景について、日本コカ・コーラ ベンディング事業部 ベンディング機器ソリューションズの中里泰雄氏が説明。現在の自販機ビジネスにおける課題として、社会から在っても良いと認められる存在になることと、消費者から在って欲しいと望まれる存在になることだと述べた。

 社会から在っても良いと認められる存在になるものの取り組みが、ピークシフト自販機。自販機で冷たい飲み物を提供するには冷却が不可欠。だが2011年の大震災以降は電力不足が問題となり自販機の電力を止めるように求められる声が挙がっていた。このことから、比較的電力に余裕のある夜に電力使用をシフトさせたピークシフト自販機を開発した。

自販機での滞留時間。おおむね10秒強で長くても30秒もかからない
自販機での滞留時間。おおむね10秒強で長くても30秒もかからない

 そして、消費者から在って欲しいと望まれる存在になるものの取り組みが自販機AR。そもそも自販機は製品を並ばずに簡単に購入できる利便性を追及したもの。その一方で「あらかじめ買うものを決めている場合が多く滞留時間が短い。そもそも自販機でウィンドウショッピングをする人は、まずいない」(中里氏)というように、購買そのものの楽しさも省略されている。そこでAR技術の活用により、消費者が好奇心を抱く仕掛けや記憶の残るような楽しさを提供したいとしている。

自販機ARは、AR技術を駆使してさまざまなものを拡張している開発ユニット「AR三兄弟」と共同開発。デモを川田十夢氏が説明を行った
自販機ARは、AR技術を駆使してさまざまなものを拡張している開発ユニット「AR三兄弟」と共同開発。デモを川田十夢氏が説明を行った

 これまで自販機と消費者のコミュニケーションはポスターやステッカーなど文字と写真のみで、画一的かつ限定されたスペース、さらに98万台あるという同社の自販機にステッカーなどを張り替える作業が必要で、印刷物や人的コスト、時間などがかかってしまっていた。ARの活用により音や動きによって製品の“シズル感”を表現することが可能になるほか、スペースを気にせず無限のメッセージを提供することができ、印刷物や張替作業の人的コストの節約かつ、タイムリーに訴求できるメリットがあるという。

 現在の段階では、試みとしても新しいことだとして機能も意図的にシンプルにしているが、今後は夏に向けてさまざまな機能を追加し、魅力的なARを導入していくとしている。

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