グレースノートは4月18日、フィンガープリントを使ったテレビ向けの新技術を日本で初披露した。テレビCMのターゲティング広告配信や、セカンドスクリーンでの番組情報取得などが可能になるとしている。
フィンガープリントとは、映像や音声内の情報を分析し、該当するコンテンツを認識する自動コンテンツ認識技術(ACR)。映像にある情報からコンテンツを分析し認識させる「ビデオ・フィンガープリント」と、音声の波形から楽曲を認識する「オーディオ・フィンガープリント」の2つがある。いずれも認識にかかる時間は映像が数千分の1秒、音声が5~6秒程度とのことだ。
今回披露されたのは、テレビにおけるターゲティング広告を実現する「ターゲティングTV広告」と、テレビ番組の音声を認識し、それに合わせた情報をタブレットなどに提供する「Gracenote Entourage」。すでに1月に米国で開催された「2013 International CES」で公開された技術だ。
ターゲティングTV広告は、視聴者の見ている番組や年齢、年収などから、最も興味を得られると推測される内容をテレビCMに反映させるもの。複数の視聴者が同じテレビドラマを視聴していても、テレビCMに切り替わると、Aには高級車、Bにはファミリーカー、Cには軽自動車といった具合に、CMの出し分けができる。もちろん提供スポンサーが異なる場合でも対応可能だ。
これは、視聴者が普段見ている番組をフィンガープリントで認識し、EPGデータなどと照合して出し分けができるようになるとのこと。視聴者の年齢や年収といった個人情報をテレビ設定時などに入力しておけば、より詳細な出し分けに応じられる。
番組コンテンツは放送波から、出し分けられるCMはインターネット回線からテレビが受信する仕組み。そのため放送波、インターネット回線、テレビがあれば利用可能になるとのこと。番組コンテンツは地上放送のほか、衛星放送、ケーブルテレビ、インターネット番組など、あらゆる放送形態に対応する。加えてYouTubeや録画済みコンテンツでも映像を解析し、それに応じたCMを流すことができる。
グレースノートでは、2013年春から2014年にかけて、米国で視聴サンプリングを取り、実施テストを行う予定。日本での導入は未定だ。
Gracenote Entourageは、スマートフォンやタブレットが視聴中の番組の音を認識し、該当するコンテンツの関連情報などを表示するというもの。視聴中のコンテンツからフィンガープリントを取得し、グレースノート独自のフィンガープリントデータベースから該当番組を特定。それに関連した情報を表示する。
フィンガープリントデータベースはEPGやテレビ、映画、広告などのメタデータサービスとから構築され、コンテンツを照合しているとのこと。放送中の番組でも認識でき、番組情報などが表示される。
米国では一部のケーブルテレビチャンネルやアプリなどで実際に使用されており、事前にコンテンツの内容を解析しておくことで、より詳細なコンテンツ情報を提供できるとのこと。見ているシーンに合わせて情報も変化するので、番組をさらに楽しむためのツールとして期待されているという。日本でもすでにソフトウェア開発キット(SDK)が公開している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」