GoogleのウェブベースラップトップであるChromebookには、2つの方向性があるように見える。その一方は、サムスンの「Chromebook Series 3」だ。本記事執筆時点では、これがAmazon.comでもっとも売れているラップトップになっている。249ドルという定価を考えれば驚くことではないかもしれないが、Chromebook Series 3は基本的に、ネットブックの衰退と7インチタブレットの台頭によってできたローエンドマシン市場の空白を埋める存在だと言える。
そして、その対極にあるのが、Googleが新しく出した「Chromebook Pixel」である。これはAcerやサムスンなどのパートナー企業に外注されたものではない、Googleが独自にデザインした最初のラップトップだ。今回Googleは掛け金をつり上げ、高解像度タッチスクリーン(Appleの虎の子であるRetinaディスプレイよりも高いピクセル密度を持っている)と、本物のIntelの「Core i5」プロセッサを投入した。しかし、重さ3.3ポンド(約1.5kg)のPixelは、価格も高い。基本価格はなんと1299ドルだ。4G LTE携帯モデムが組み込まれた上位モデル(発売は2013年4月の始め以降に予定されている)では、これが1449ドルまでつり上がる。
クラウドに夢中のクラウドの住人にとっては、これは究極のオンライン特化ラップトップに見えるかもしれない。しかし、安価だった以前の機種と同じで、Chromebook Pixelにもかなりの数の弱点があり、価格が高いためにそれらの弱点は増幅されている。画面は確かに豪華だが、タッチ操作向けにデザインされている「Windows 8」とは違って、「Chrome OS」そのものは、現時点では特にタッチ操作で使いやすいものにはなっていない。
また、同じ価格帯のほかのラップトップとは違って、Chromebook Pixelは、「Microsoft Office」や「Adobe Photoshop」などのなじみ深いデスクトップソフトウェアは使えない。使えるのは、「Google Docs」や「Pixlr Express」などの、ウェブベースの代わりのアプリだけだ。では動画編集はどうだろうか?仮に「WeVideo」が「Final Cut」や「Adobe Premiere」と同じくらいよいソフトだとしても、動画をクラウドで編集するには、長いアップロード時間とダウンロード時間を覚悟する必要がある。
Googleが、MacやWindowsの充実したソフトウェア群と同じくらい確かなウェブアプリのエコシステムと、ローカルにあるハードディスクで作業をするのと同じくらい便利なクラウドベースのアーキテクチャを提供できない限り、この種のハイエンドなChromebookを売るのは、今後も難しいだろう。
われわれは、ChromebookはGoogleの実験だと考えたい。これは、ギガビット水準の無線があらゆる場所で使えるようになるであろう、光ファイバによるGoogleの未来のユートピアを模して楽しめる、一握りの裕福な消費者の物理的な遊び場だと思えば納得がいく。そんな未来が来れば、Chromebook Pixelはその未来を切り開くのにぴったりなハードウェアになるかもしれない。
Chromebook Pixelの看板になる特長は、AppleのRetinaディスプレイに対抗できるだけのピクセルを持つマルチタッチスクリーンだろう。直接目にすれば、これは素晴らしいと言うほかない。
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