2月18日~2月24日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。
先週から米国の国内ニュースとしても話題になっているのが、米国各所を狙ったサイバー攻撃だ。The New York Timesのハッキングを皮切りに、The Washington Postなどのメディア、そしてFacebookやAppleといったテクノロジ企業が標的となっている。そして報道では、これらが中国を発信源としたものであると伝えられ、中国政府や軍の関与、あるいは中国からのこれに対する否定などの情報が飛び交っている状況だ。
このサイバー攻撃は我々に無関係とも言い切れなくなってきている。先週、Zendeskというクラウド型顧客サポートサービスがクラッキングの被害に遭い、Twitter、Pinterest、Tumblrという日本でもよく知られたソーシャルネットワークサービス3社の情報がダウンロードされたと伝えた。この件が一連のサイバー攻撃と関連するかは触れられていないが、クラウドサービス全盛の時代に、どのようにセキュリティを守るかという問題に一石が投じられた。
それでは、先週のニュースを振り返っていこう。
冒頭でも触れた通り、Appleも一連のサイバー攻撃の標的となった。OS XのJavaの脆弱性を突いて管理者アカウント1件が乗っ取られ、サイトへのJavaScript挿入などの改変を受けたという。データが奪われた形跡などはなかったとしている。
Appleは、Javaの脆弱性に対応するアップデートを2月20日にリリースしている。
これまでMacはOS Xになって以降、特にコンシューマー向けのPCは、システムの堅牢性に加えてWindowsほど普及していないことも助けて、ウィルスやマルウェアなどの大規模な被害を出す事例に遭遇せずに済んでいる。処理が重たくなるウイルス対策ソフトやファイアウォールソフトなどを使わなくても危険性は低い点は、Macを使うことの1つのメリットとされてきた。
しかし、これまで被害が少なかったことは「幸運だった」と考えを改めるべきかも知れない。
今回のように、ウェブサイトにJavaScriptが埋め込まれ、これがアクセスする人のブラウザを介してコンピュータに異常を来す場合、www.apple.comに埋め込まれれば世界中のユーザーが危険にさらされることを意味する。OSを作るメーカーも注意しなければならないが、ユーザーもこうしたセキュリティの情報には目を光らせておくべきだろう。
アップルもサイバー攻撃の標的に--データが奪われた形跡はなし(2月20日)最近暗い話題が多いApple関連ニュースで、明るい話題を1つ。
Appleは2012年第4四半期に、Samsung Galaxy S IIIを抜いて、世界で最も多く売れたスマートフォンになった。3カ月で2740万台のiPhone 5を出荷し、シェアは12.6%。iPhone 4Sも1740万台を数えて2位、8%のシェアを獲得した。iPhone 5とiPhone 4Sを合わせると、販売されたスマートフォンの5台に1台はiOSが動作するiPhoneだったことを意味する。
Appleは年間で1台のスマートフォンしかリリースしておらず、廉価版からハイエンドまで取りそろえPhablet(スマートフォンとタブレットの間)というカテゴリまで生み出しているSamsungとは決定的に戦略が違う。特に新興国での伸びで、Samsungは世界販売でトップの座をNokiaから奪い取っている。
スマートフォンの成熟と普及が進むにつれて、だんだんその成長の鈍化は既に指摘されている。そのためAppleが年に1台ずつしかiPhoneを出さないとしても、次期iPhoneが発売され、現行のiPhone 5が99ドルでラインアップに残されたときの廉価版としての製品の競争力は非常に高い状態に維持されると見られる。
Appleは2012年に1億3000万台を越えるiPhoneを出荷している。しかしこの数字が倍になる可能性を秘めている。中国市場だ。本連載でも指摘してきた通り、AppleはiOS 5、iOS 6と中国のウェブサービスやソーシャルメディアへの対応を深めてきた。現在はまだ、中国最大(もちろん世界最大)規模のChina MobileでのiPhone販売を行っていない。
2013年にAppleが再び、世界で最も売れたスマートフォンの座を射止める可能性は、中国にかかっていると言ってもいいだろう。
「iPhone 5」、世界で最も売れたスマートフォンに--2012年第4四半期(2月21日)前回の連載で詳しくまとめた通り、Appleが次にどんなデバイスを出すのかに注目が集まっている。今週は2011年にAppleが提出した特許文書で、「フレキシブルなディスプレイ」を「ブレスレット風のデバイスで」利用することが示されている。
ちなみに、文書にはフラップ(flap)という言葉も出てくるが、1点が止められてぱたぱたするものを指し、幅が一定の広さで構成されているもの──というイメージがある。既存の文字盤が明確に分かる腕時計型というよりは、もう少し幅が広めで、曲面ディスプレイが腕をぐるりと覆うようなイメージなのかもしれない。
先週のCNETの記事でBrian Bennett氏は「これまでのAppleは真の機会を感じ取ると、成功の秘訣を考え出してから頃合いを見計らって参入し、その市場を支配してきた」としており、2012年から盛り上がり始めたウェアラブルデバイスは、まさにAppleが参入してゲームを変えてしまうタイミングとしている。
また2月23日に大分市で開催された「Apple User Group Meeting大分」(AUGM大分)で基調講演に立ったジャーナリストの林信行氏は、「AppleはiMac以降、およそ3年周期で全く新しいデバイスやサービスを世に送り出しており、今年がそのタイミングになりそうだ」と指摘している。
おそらく新しい開発環境を伴うものになると見られ、発表するとしたら、開発者向け年次イベントWWDC2013が行われるであろう6月になるのではないだろうか。
アップル製スマートウォッチ「iWatch」は実現するか--今のアップルに必要なものとは(2月21日)Appleとステークホルダーについても前回から継続しているニュースだ。Appleはユーザーや開発者をエコシステムの構成員として招き入れ、新しい会社像を造っている。一方で、公開企業であるため株主という従来から続く関係性にも対処しなければならない。
Greenlight Capitalは、Appleが大量に保有する海外の現金を株主に還元する方法を考えるべきだとして訴えを起こしている。Appleは2012年に株主への配当プログラムと100億ドルの自社株買いを発表しているが、それでもなお、Greenlightは現金の使い道について説明と取り組みが不十分だとしている。
先週の動きでは、米地方裁判所が、Greenlightが主張する「投資家の承認を得ることなくブランクチェック優先株を発行できないようにする」という議案の株主投票の阻止を認めた。つまりAppleに対して、ブランクチェック発行について、株主に伺いを立てずに行える状態を維持せよという主張が前進したことになる。
対アップル訴訟、ヘッジファンドが「勝つ可能性が高い」--米地裁判事が見通し示す(2月20日)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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