1月14日~1月20日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。
最近のAppleニュースは荒れ模様だ。前回は廉価版iPhoneの報道に揺れた一週間をお届けしたが、今度はiPhone向けのディスプレイパーツについて、需要低下から発注を減らしているとの報道が話題の中心となっている。これによってAppleの株価は一時500ドルを下回るなど、その影響は少なくない。そして今週はAppleが2013年第1四半期の決算発表を行い、「数字論争」に一定の結論が出ることになる。
それでは、先週のニュースを振り返っていこう。
2012年、Appleの株価は一時、700ドルを超える終値を付けたが、先週は一転。500ドルを割り込む株価を付ける瞬間を見た。この原因となったのは、日本経済新聞やThe Wall Street Journalが報じた、iPhoneの部品発注点数削減の報道だ。
日本経済新聞の報道の趣旨は、「6500万ユニットを予定していたiPhone 5向けのディスプレイパーツの発注を半減させた」というもので、これがThe Wall Street Journalに引用されたことで、Appleの株価に大きな影響を与えたことは言うまでもない。その後、WSJは、記事からこの「6500万ユニット」という数字を削除していることで、様々な憶測を呼ぶことになった。
これについて、先週、米国のジャーナリストの間で、Twitterを中心に議論が進んでいる。Matthew Panzarino氏(@panzer)、MG Siegler氏(@parislemon)、Rene Ritchie氏(@reneritchie)あたりをフォローしていると、今回の議論の流れがつかめてくるのではないだろうか。
彼らの間での議論は、こうだ。
まず、半減前の数字である6500万ユニットというのはいったい何が根拠なのか、ということだ。iPhone 5とiPod touch向けには、これまでの3.5インチRetinaディスプレイから4インチRetinaディスプレイへと新しいパーツに変更された。新パーツでは不具合の割合が高いことから、多めに発注することがよくあり、これが落ち着いてきたために減らしたという見方。そしてそもそも、クリスマス商戦にくらべて、年明けのシーズンは需要が半減するため、減らしていて不思議ではない、との見立てだ。となると、そもそも発注量が減ることは分かっていたのに、なぜ「6500万」という数字から「半減」と書いたのだろう。
AppleとGoogle/Androidの間で、モバイルデバイスに関する熾烈なシェア争いが進んでいるが、スマートフォン分野だけでなくタブレット分野でも、Googleの優勢が伝えられるようになってきた。常にAppleは好成績を期待される一方で、今週発表されるホリデーシーズンの決算に対する期待感を払拭するといった意味合いは十分に果たしたと言えるだろう。その上で、報道による株価操作を疑う声も出始めた。Appleの株価を低く保つことで得をする投資機関があるという話も出てきている。
先週の記事でご紹介した通り、廉価版iPhoneの報道ではAppleのフィル・シラー氏がその計画に否定のコメントを出しているが、今回は決算を控えているせいか、まだコメントはない。アナリストによるとiPhoneの需要は堅調であるとの指摘がある。今週の決算で数字は明らかになるが、Appleの製品や業績、競争とは別のファクターでのせめぎ合いが表面化してくる可能性もあるため、注視していきたい。
アップル株価、一時500ドルを割る--「iPhone 5」部品発注削減の報道を受け(1月15日)iPhoneにまつわる数字で揺れる中、iPad/iPad miniのセルラー版を中国で発売する報道と、次期iPad miniのRetinaディスプレイ対応の予測などが披露されている。現在329ドルで販売されている16Gバイト Wi-Fi版のiPad miniは、ライバルに比べて価格が高く、またディスプレイの解像度の面で遅れを取っている。
Retinaディスプレイに変更されれば当然コストは上がるが、おそらくAppleは現在の販売価格を変えずにアップデートすることになるだろう。iPhoneの新モデルに対して、カメラの向上やA7新型チップの採用などが見込まれており、このうちのいくつかは新型iPadにもテクノロジとして適用されるのは、これまでのAppleの製品ラインアップからも予測に容易い。
Appleはタブレットデバイスの製造・販売そのものからも利益を上げようとしている一方で、Kindle Fire HDが好調なAmazonは、デバイスそのものではなく、その先に拡がっているコンテンツ販売からの収益を見込んでいる。そのコンテンツ販売の対象は、自社デバイスだけでなく、Appleデバイスもターゲットに入っている。
既にAmazonはKindleアプリをiPhone、iPad向けに提供しており、ウェブでKindleの書籍コンテンツを購入すると、アプリで読める仕組みを提供してきた。これに続いて、Amazon MP3 Downloadアプリを提供し、ウェブで音楽コンテンツを購入してiPhoneにクラウドからダウンロードして楽しむスタイルは書籍と同様だ。
利便性はAppleデバイスに劣るものの、デバイスをAppleに縛られずに済むメリットは、米国で発表している、Amazonで過去に購入したCDを「所有している」としてダウンロードできる仕組みと合わせて、消費者にとって魅力になる。
Appleはデバイスとコンテンツ販売の垂直統合モデルについて、消費者によりいっそうの簡便さや利便性等のアピールをしていく必要に迫られるかもしれない。魅力的なデバイスを作り続けるだけでは、iPadの挽回につながらないかもしれない。
ちなみに、AppleとAmazonは「App Store」の商標侵害の裁判で係争中で、和解交渉をするよう命じられている。
アップル、「iPad mini」と第4世代「iPad」のセルラー版を1月18日に中国で発売へ(1月15日)先週は、オランダで、Galaxy TabがAppleの意匠を侵害していないとの判断が出ている。これは欧州で、イギリスでの裁判所が2012年に出した判断に準じる内容となっている。また米国での2014年3月末に開始されるAppleとSamsungの裁判に向けて、特許侵害訴訟の対象にiPhoneとGalaxy S IIIが加わるというニュースがあった。
その他、ベルギーではAppleの製品保証プログラムApple Careについて、EUの消費者法が定める2年補償の無料提供を行っていないとの訴えが起こされている。同種の訴訟では2011年にイタリアで製品保証を消費者に適切に知らせなかったとしてAppleが敗訴し、120万ドルの罰金が科せられた経緯がある。
ベルギーの消費者団体、アップルの製品保証めぐり提訴(1月16日)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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