2月11日~2月17日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。
バレンタインデーのApple Storeは、iPhone、iPad、iPad miniなどのモバイルデバイスと、それに合わせたアクセサリの販売で賑わっていたようだ。iPhone 5、iPad mini向けのアクセサリもそろい始め、ニーズのあるサードパーティーのLightningケーブルも店頭に並び好調そうに見えた。
Appleの先週の大きなトピックは、次世代の時計型デバイスに関する情報と、傷だらけのiOS 6.1、そしてAppleと株主のニュースだ。それでは、先週のニュースを振り返っていこう。
日本では3連休だった先週、Appleが準備していると見られる腕時計型デバイスに関する情報が流れ始めていた。しかしこのスタイルのデバイスは、見覚えがあるものだった。
というのも、すでにコンパクトで真四角な画面を持つ「iPod nano」向けのリストバンドがあり、腕時計型の音楽デバイスとして使えているからだ。ユーザーの使い方に合わせて、Appleはデジタル表示や多数の文字盤など、iPod nanoソフトウェアに時計表示を充実させるなど、Appleも腕時計型デバイスの使い方を後押しした経緯もあった。
2012年から、特にフィットネス系をきっかけとした“身につけるデバイス”の市場や商品はバリエーションが拡大している。スマートフォン市場、PC市場ともに、今後頭打ちになっていくことは見えているが、スマートフォンなどと連携できる「中間デバイス」に対しては、スマートホームやスマートライフとして非常に可能性を秘めている。
現状の身につけるデバイスは、用途が限られているモノが多く、汎用デバイスやプラットホーム、エコシステムを構築できそうな類の製品はまだ出てきていない。そういう意味で、Appleが人とモバイルデバイスの距離を詰めるにはぴったりのアプローチ、と分析でき、もちろんこのデバイスは既存のiOSデバイスを選ぶインセンティブになりうる。
現在このデバイスに対して挙げられている情報をリストにまとめてみた。
以下は、「これぐらいやってくれないとインパクトがないんじゃないか」という筆者の要望である。
要望のポイントとしては、下の4つは時計としてあるべき姿を押さえてほしいという話だ。自動巻時計や太陽電池を内蔵するデジタルウォッチなど、半永久的に動作する時計が多い中で、iPhoneのように毎晩充電する腕時計なんて聞いたことがないからだ。また、防水も同様、トイレで手を洗う度に腕から外すなんてナンセンスなことはしたくない。
それ以外の部分は、どのように現在のiOSデバイスのエコシステムに参加するか、というアイディアで、最低限これくらいのことはやってくれないと始まらないだろう、というライン。特に、時計向けのアプリの開発と、これと連動できるiPhone/iPadアプリの開発は、既存のアプリ開発者のイマジネーションによって、この新しいデバイスの使い方を開拓するために不可欠だろう。
あとは、ライフスタイルとして、このデバイスをいかにスマートに導入するかの問題が残る。非常に個人的なことだが、筆者は、iPhoneのおかげで(あるいは、iPhoneのせいで)、手帳も腕時計も持たない生活になってしまって3年がたつ。裏を返せば、Appleがこの習慣を変えられるようなデバイスを打ち出せるか、という点に最大の関心を寄せている。
アップル、カーブガラス採用の「iOS」ウォッチを開発中か(2月12日)iOS 6.1がリリースされたが、このバージョンに対する評判は悪い。特にiPhone 4Sでは、3Gデータ通信に支障が出るとして英国Vodafoneなどの一部のキャリアがアップデートを見送るよう顧客に通知するなど、問題が広がっていた。先週AppleはiOS 6.1.1をiPhone 4S向けにリリースし、こうした問題の修正を行っている。ちなみに開発者向けに公開されていたiOS 6.1.1では、日本などでの地図の修正も施されていたが、このバージョンは次のアップデートに先送りされたようだ。
もう1つの問題は、米国のローカルニュースでも大きく取り上げられていたが、iOS 6.1のパスコード入力を回避できる、というセキュリティホールの問題だ。緊急電話の発信操作によって、パスコードを回避してiPhoneにアクセスできるというもので、注意が喚起されていた。
さらに、これはビジネスユースに関わるが、iOS 6.1でMicrosoft Exchangeサーバとの同期を行う際に、サーバに過剰なログが生成されてしまうという問題が見つかっている。次のバージョンで修正されるとのことだ。
アップル、「iPhone 4S」向け「iOS 6.1.1」をリリース--3G接続の問題など修正(2月12日)Appleの株価は2012年に700ドルを超える水準まで値上がりしたが、現在は450ドル前後の水準まで落ち込んでしまった。Appleの決算で、利益率が下がっていること、モバイル市場の競争激化や市場拡大が一服したことなどから、先行き不安がささやかれた結果であるが、非常に大きな値下がりであったこともあり、投資家からの訴訟が相次いでいる。
Apple CEOのTim Cook氏は、先週サンフランシスコでゴールドマン・サックスのカンファレンスに登壇し、さまざまなテーマに回答している。この記事は、これまでのAppleの企業としての取り組みについて非常に参考になるので、ご一読することをおすすめする。
Appleは公開企業であるため、業績や方針について株主との対話を無碍にできないことは言うまでもないが、Appleは自社でエコシステムを充実させており、このエコシステムの構成員、すなわち顧客と、エコシステム向けにアプリなどを開発している開発者という、株主以外のステークホルダーの存在によって支えられている。
特に、iOSやMacのアプリ開発環境とストアは、新しいビジネスを作り、ストアそのものから開発者が収益を上げられる体制を作った。1月に開発者に支払った金額は70億ドルと発表していたが、先日のCook氏の発言では10億ドル増え80億ドルになっている。
Cook氏は、株主に対する旧来のやり方以外の方法で、エコシステムの構成員に対する「還元」を行うことを重視しているように見える。それは、単に保有現金を株主に配当するだけでなく、買収や新デバイスの開発などによる「投資」による、より持続的な還元をイメージするものかもしれない。
アップルCEO、Greenlight Capitalとの訴訟を語る--お金も時間も無駄な「茶番劇」(2月13日)Appleの商標問題は後を絶たない。分かりやすく覚えやすいシンプルな名前を目指していることや、iMac以来、「i○○」というネーミングのパターンが周知されたことも原因に挙げられる。過去、2007年に「iPhone」というネーミングについてCisco Systemsと裁判で和解しているほか、2012年に中国企業Proviewとの間で「iPad」の商標権の使用で和解している。
先週、ブラジルで、AppleはiPhoneの商標権について危機にさらされているとの報道があった。相手はGradiente Eletronicaというモバイル端末のメーカーで、2000年に行った「iPhone」の名称登録に正当性があるとのことだ。
これに対してAppleは、ブラジルの国立工業所有権院に上訴している。
アップル、ブラジルで「iPhone」の商標権を喪失との報道(2月14日)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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