「世界一を目指そう」--12.8mmの薄型ウルトラブック「LaVie X」が生まれた背景 - (page 4)

――反対に、これだけは必ず守る、というようなこだわりはどうでしょう?

快適に使えるよう、フルサイズのコネクタを採用
快適に使えるよう、フルサイズのコネクタを採用

 NECの哲学として、やはり使いやすさをできるだけ損なわない、というのがベースにあります。カタログなどにも謳っていますが、NECの「安心」「簡単」「快適」というキャッチフレーズです。

 10キーの搭載にこだわるのもそうした点に根差したものですし、コネクタ部分もミニUSBとかMicro HDMIをHUBを介して使うというのは快適ではなくなってしまうので、フルサイズのコネクタを採用することにこだわりました。

 デザイン面では、シャープさとLCDの開閉のしやすさを両立するためにΣ(シグマ)状の形状になっているとか、ソフトウェアの面でも安心、簡単、快適の部分にはこだわりましたね。イノベーション商品ということで、いくら先進ユーザー層をターゲットにしていても、そうした基本的な部分をしっかりと押さえておくことで、初心者の方に買っていただいても不便なく使っていただけると思っています。

――今は薄い、あるいは軽いのどちらかにフォーカスしたものが主ですが、今後“究極に薄くて軽いPC”を目指す考えは?

本体を大きくしたことで、ファンと基板、バッテリが重ならないレイアウトにできる
本体を大きくしたことで、ファンと基板、バッテリが重ならないレイアウトにできる

 もちろん挑戦してみたいとは思います。ただ、薄さと軽さを両立させるのはハードルがかなり高いと認識しています。例えば、LaVie Xでもなぜマグネシウムリチウム合金を使わなかったのかとよく聞かれるのですが、マグネシウムリチウム合金に比べてアルミ合金は荷重に対する強度がだいたい1.5倍ぐらいあるんです。

 本体が大きくなるほどそれだけしなりやすくなるので、強度が弱くなると耐圧だとかにも弱くなり、商品としての品質が低下してしまいます。そこで大きくするためには、若干マグネシウムよりは重くても強度のあるアルミを使うことで、そのぶん薄くできました。

 そして今度は逆に、本体を大きくしたことで、ファンと基板とバッテリとかまったく重ならないレイアウトにできるので、それもまた薄くできるひとつの要因となったのですが、筐体を大きくした分、重さとしては不利になってしまうんです。ただ、一ユーザーとしてはやはり欲しいところですので頑張っていきたいところです。

――Windows 8が登場して以降、ダブルスクリーンだったりスライドディスプレイだったり、PCの様態も多彩になってきています。また、タブレットとかスマートフォンとの境目も微妙になりつつあると思いますが、PCの今後の方向性としてはどのように考えていますか?

 タブレットとかスマートフォンというのは、情報を“消費する”方向にフォーカスした機器だと思っています。一方でPCというのは、情報を作ったりとか編集したり発信するとか“作る”方向のクリエイティビティーに強い装置だと思っています。例えば弊社で言うところのLaVie Yのような、両者のいいところどりをしたコンバーチブルのPCとかもいろいろ登場していますが、しっかりとしたPCというのも残っていくと思います。

 もちろんスマートフォンとかタブレットも情報を消費する機器としてPCと共存しながら増えていくのではないかと思います。PCでなければ不便だというシーンは多数あるので、そういう中でスマートフォンとかタブレットの存在を前提に、連携したりすることでより使いやすくなるという方向でPCも進化していくのではないかと思います。

――NEC PCとして2013年に目指すことは?

 Windows 8が登場して、使い方にまだまだ戸惑っていらっしゃる方も多いと思うので、“安心、簡単、快適”という路線を会社としてもう一度しっかりやるタイミングだと思っています。商品企画としても、軽い、薄いという2つのイノベーションと、“安心、簡単、快適”という方向性が両立していくという感じで、使いやすいパソコンとして売っていくべき商品はその方向性でちゃんと進化させてしっかりと出していきたい。イノベーション商品に関しても、見た目のインパクトや反響が大きいものですが、パソコンを日常のアイテムとして使っていただいているユーザーの方に快適に使っていただくという軸は外さずに、これまで同様取り組んでいきたいです。

――薄い、軽いに続く次のイノベーションは何か考えていらっしゃいますか?

 皆さんのご要望があれば、世界“最大”のパソコンでしょうか(笑)。


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