「世界一を目指そう」--12.8mmの薄型ウルトラブック「LaVie X」が生まれた背景 - (page 2)

――液晶について、タッチパネルだとよりよかった、という声も聞かれますが、やはり難しかったのでしょうか?

 今回は「最薄」というこだわりと、フリーロケーションで持ち運ぶというコンセプトもありますので、ある程度軽さも必要だということで、その部分を優先させるために今回はタッチパネルを採用しないと判断しました。

 実際、タッチパネルのほうが使いやすいとは思いますが、NECの商品はクリックパッドやスタートメニューの部分でも使いやすい工夫をしっかりと施していますので、ジェスチャーだったりスワイプだったりというWindows 8の動作も十分使っていただけると思います。

 それから、タッチパネル用のガラス1枚を付けると、さらに重くもなりますので、液晶トップ部分のほうが重くなりバランスも悪くなってしまうなど、いろいろとトレードオフな部分がありました。ロックとかを付ければ液晶が回転するとかもできるかもしれませんが、いずれにしても本体が浮いたり、ヒンジの太さとか他のところへも影響してしまいます。

――デザインでこだわった点はどうでしょう。

奥の製品がLaVie X。色がやや青みがかかっているのがわかる
奥の製品がLaVie X。色がやや青みがかかっているのがわかる

 今回、世界最薄を狙ったわけですが、薄さによる一番のメリットはもちろん持ち運びのしやすさですが、見た目という点も大きいのです。

 開発側で「もう無理だろう」、というところまで薄さを追求し尽くしたところで、さらに無理だろう、というところまでデザインの部分でも無茶を言いました。

 例えば天板に関しては、一般的にアルミを使っている商品より少し輝度を高く、明るめにしてあります。それから、もうひとつヘアラインの模様もデザイン上のアクセントになっています。天板を光らせるためには、通常表面を磨くわけですが、ヘアラインの模様はもともとの板材に初めから入っていて、それを後から磨くのです。これは、あまり磨きすぎると模様が消えてしまうし、逆に磨かなければ明るさが出ないので、バランスをかなり試行錯誤しつつ仕上げました。

 他にもカーブの丸みの部分も、弊社のPCの中ではかなり角ばっているのですが、薄いのでカーブを丸くして過ぎるとシャープ感が出ないし、シャープにし過ぎると強度が出ないといったところがあるので、実際に試作機を作って落下試験をしたりしてこの形になりました。

このカーブの丸みは、落下試験を繰り返しながら、シャープ感と堅牢性を備えたものになっている
このカーブの丸みは、落下試験を繰り返しながら、シャープ感と堅牢性を備えたものになっている

――六角形のヒンジもユニークですが、このデザインにも何か意図があるのでしょうか?

六角形のヒンジ。六角形のヒンジ。あえて厚ぼったく見せないためにこだわった
六角形のヒンジ。あえて厚ぼったく見せないためにこだわった

 六角形のヒンジが全体のデザインのアクセントになっている部分もあります。実際、丸いヒンジよりもかなり締まった印象になるんです。

 ただ、ヒンジの内側には液晶からのケーブルだとか中にいろいろなケーブルが入っているんですが、ふつうの丸のヒンジよりも中身の容積が小さくなってしまうので、ケーブルの通し方だとかそういうところも六角形にすることによって難しくなってしまいます。

ヒンジを六角形にすると、ふつうの丸のヒンジよりも中身の容積が小さくなるデメリットも
ヒンジを六角形にすると、ふつうの丸のヒンジよりも中身の容積が小さくなるデメリットも

 途中で開発担当者から「なぜ六角形なんだ」って言われたりすることもありましたが、これだけ全体的にストレートなラインを強調する商品、形状の商品をこの部分だけ丸に妥協してしまうと厚ぼったく見えてしまいます。

 強度の問題などもあり、開発部隊にはかなり頑張ってもらいました。抜き差しする部分に強度がないといけないので、SDカードスロットも金属と一体の構造なんですが、外から見た時にマグネシウムの地の色だと見映えが落ちるので外から見える部分を黒く塗っているんですよ。

SDカードスロットの差し込み口など、外から見える部分を黒く塗るなどディテールにこだわった
SDカードスロットの差し込み口など、外から見える部分を黒く塗るなどディテールにこだわった

――アルミ素材、薄さを目指したノートPC、ということで、やはりMacBook Proは意識されましたか。

 意識をしないと言えば嘘になってしまいますが、MacBook Proで確立された薄型アルミデザインの流れを理解した上で、それとは違うアルミ薄型のデザインを目指しました。

 PCとしてはWindowsですし、NECのA4ノートで10キーを搭載したキーボードだとかNECとしてこだわった部分はかなりあります。先ほどお話しした表面の加色による差別化に関しても、MacBook Proや他のUltrabookとは同じものにはしたくない、という思いがあってのこだわりです。

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