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図解:ソーシャルメディア活用のありがちな失敗

許 直人(ループス・コミュニケーションズ)2012年12月27日 08時00分
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 今から説明するのは「やらない方がいいソーシャル活用」のお手本です。実際に見聞きした実例に基づいて再構成しました。

 例えば山田さん(36歳、仮名)の場合

 山田さん(36歳・仮名)は、とあるネット系企業の事業部長です。2000年代前半に「ガラケー」向けのコンテンツビジネスで月額課金モデルのサイトをいくつかヒットさせたものの、先行する企業ほどには成長しませんでした。ポジションは中堅の企業です。携帯サイトからのフロー収入に加え、ウェブ制作や自社ソリューションもあり、まずまずの業績を維持してきました。

 ただ、2010年代に入るとスマホブームの影響を受け、携帯サイトからの収入が減り始めます。自社ソリューションに注力していたためソーシャルゲームブームに乗り遅れた同社。2011年夏、半年かけて開発したSaaS型CMSで巻き返しを図ります。新しいCMSは最近流行しているソーシャルメディアとの連携機能が売りで、ウェブサイトを制作・管理できるだけでなく、人気のコンテンツをシェアしたり、ソーシャルのアカウントでシングルサインオンする機能が盛り込まれていました。

ソーシャルからの受注なし・・・

 そういった「ソーシャル満載仕様」をアピールするため、専用ブログ、Facebookページ、Twitter公式アカウントを用意し、情報発信は万全の体制。営業は事業部長の山田さん自らが付き合いのあるクライアントや広告代理店に紹介してまわり、主要な検索エンジンでのリスティング広告にもそれなりの予算を配分しました。

 その後、「地上戦」では山田さんが代理店と共同で実施したイベントがリードを確保し、リスティング広告からもほぼ想定通りの問い合わせがありました。資料をダウンロードした顧客にアウトバウンドの電話営業をかけ、課題抽出、ソリューション提案を経て最終的に十数件の受注につながりました。半年後、なんとか事業はトントンにまでこぎつけました。

 めでたし、めでたし……。

 といい話になりそうなところですが、ふと気づけば半年前に開始したFacebookページとTwitterアカウントは3カ月後に実質的に運用が停止していました。フォロワー数はそれぞれ200人程度。運用を担当していた大学生のアルバイト社員も、最初の1カ月は開発状況やアップデートを定期的にポストしていたものの、2カ月目にはネタ切れ、3カ月目には苦痛でしかないと上司である山田さんに進言する状況になった。

 山田さんもその時点でFacebook、Twitterからの受注がなかったため聞き入れ、その時点で実質的に運用は停止しました。現在ではブログだけがサポート情報を淡々とアップデートする状況になっています。

山田さんは何を間違えたのか

 結果としては事業を軌道に載せ、無事にボーナスなり昇給なりにありつけたであろう山田さんですが、ソーシャルアカウントの運用という面では失敗に終わったと言えそうです。少なくとも事業推進の役には立ちませんでした。

 山田さんは、どこを読み違えたのでしょうか。多くの「放置ソーシャルアカウント」を生み出したのと、同じ理由がここにはあります。

山田さんがソーシャルという顧客接点に与えた役割

 ソーシャルブーム全盛期、地に足のついた方々からは「ソーシャルは魔法の杖ではない。ツールに過ぎない」という警鐘が鳴らされていました。どちらかというとそういう方々からは「煽り屋」と見られていた私ですが、実際のところ「ツールに過ぎない」という見方はまっとうだと思います。

 では、山田さんがその「ツールに過ぎないソーシャルテクノロジー」に与えた役割なり、期待する結果はなんだったのでしょうか。彼が「Facebook、Twitterからの受注がなかった」とがっかりしていることからわかる通り、集客を期待したのです。

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