ソーシャルで集客が可能か否か? ここではあまり深い議論は避け、要点だけを述べたいと思います。アドボカシーマーケティングの文脈では、そもそも“集客という言葉自体が顧客志向ではなく間違っている”という見方もあります。
例えばローソンはLoppiと連動させたソーシャルツールを介したキャンペーンで数十万人単位の店舗誘導が実現できたといいますし、ウェブサイトへのトラフィック流入もROIではポータルサイトのバナー広告を超えることもあるそうです(書籍『ソーシャルシフト』より)。
良品計画でもソーシャルサービスからクーポンなどを使った店舗送客を試しているそうで、少なくとも「全く集客できない」ということはないようです。
ただ、山田さんの例のように「全然集客できなかった」という例も世の中には多いです。
うまくいくケースと、そうでないケースはどこが違うのでしょうか。必ず成功する法則はありませんが、成功につながるロジックはあるはずです。記事後半で山田さんの事例を分析しながらそのロジックをご説明しましょう。
具体的な分析に入る前に、ソーシャル活用に際して「ありがちな罠」にはまらないため、改めて言及したいことが2点あります。
事例をコピーしても意味はありません。なぜうまくいったといえるのか。事例の裏にあるロジックに注目してください。
事例を参考するときには各ケースを以下4つの観点から分析するとよいでしょう。
つまりどれくらいの人に接触できたかはもちろん大切です。大切なだけにこれだけで成否を判断してしまうことも少なくありません。他の観点も併せて判断しましょう。
「影響」影響は「心理的な影響」と「行動」に大別されます。心理的な影響は、リーチした人にポジティブな影響を与えられたのかどうか、という点を判断します。多くのソーシャル施策はウェブマーケティングの一環として実施されますので、行動も測定したいです。ポジティブな影響を与えたら、それによりどう行動に結びつくのかということです。クリック率や集客数などもこの観点に含まれます。
「接触回数」接触回数は、接触頻度と期間を見ます。ウェブマーケティングとしてのソーシャルテクノロジーが持つ優位性の1つとして、接触回数の多さ、コストの低さが挙げられます。一度つながりを持った顧客に対しては、ある程度長期にわたるマーケティングコミュニケーションの機会が与えられます。あまり短期の結果だけで判断してしまうと全体を見失うでしょう。
「投下コスト」投下コストは、文字通りいくら使ったのか、という観点です。成功事例として「○○万人が利用」のような見出しが踊っていても、問題はその利用に際してかかったコストが現実的かどうかです。実際の数字が掲載されることはめったにありませんが、コスト意識を持って事例を見るというのは非常に大切な観点です。
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