欧州の独占禁止法規制当局は、かつてブラウン管(CRT)式テレビおよびコンピュータ向けディスプレイを製造していた複数のメーカーに対し、「カルテル」行為があったとして総額14億7000万ユーロの制裁金を科した。
当該企業は、欧州連合(EU)の競争法(独占禁止法)に基づき、2006年までの10年間にわたりブラウン管テレビ市場で価格操作を行ったとして制裁を科された。ブラウン管は、長年にわたって利用されてきた技術だったが、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイといった他の技術に徐々に取って代わられている。
欧州委員会は現地時間12月5日に発表した声明で、当該企業はほぼ10年間にわたり、人為的に「価格操作や市場のすみ分け、顧客割り当て、生産調整」を行って消費者に損害を与えたと認定し、カルテルは「全世界で実施された」と指摘した。
欧州委員会では、本件に関してカルテルは2件あったとしている。EUの定義によれば、カルテルとは談合して価格操作や生産調整、あるいは市場や顧客の割り当てを行う、類似の事業を営む独立企業のグループを指す。今回の件では、1件のカルテルはテレビ用のカラーブラウン管、もう1件はコンピュータ用モニタに関するものだった。
中華映管(Chunghwa Picture Tubes:CPT)、LG電子、Philips、サムスンSDIは両方のカルテルに参加したと認定されたが、パナソニック、東芝、パナソニックの子会社であるMT映像ディスプレイ(MTPD)、Technicolor(旧Thomson)はテレビ用ブラウン管のカルテルにのみ参加したとされている。
欧州委員会の声明によると、CPTは「欧州委員会がこれまで調査した中でも最も組織だったカルテル」に入るというこのカルテルの存在を最初に報告したことから、訴追を免除され、制裁金を免れたという。他の企業は、欧州委員会のリーニエンシー(制裁金減免)制度により、調査への協力と引き替えに制裁金が減額された。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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