筆者は、Steve Jobs氏を惜しむ声が少なくなることはないように思う。
Jobs氏を尊敬していた人だけでなく、同氏や同氏のブランド、同氏のLevi'sさえ嫌っていた人も、Jobs氏の亡き後、テクノロジが少しだけ面白くないものになったようだと感じている。
Jobs氏は、ビジネスにおいて高圧的で傲慢で気が変わりやすい(同時にインスピレーションにあふれた)人物だったかもしれないが、金銭以上に面白いもののためにビジネスに(そして人生に)夢中になっているというイメージがいつもあった。
Quoraの質問への回答として明らかになったある素晴らしい逸話は、このような考えを示すものとなっている。
Applied Design GroupのTim Smith氏が投稿したその逸話をBusiness Insiderが取り上げた。Smith氏は、ある女の子とデートしていた頃の話を伝えている。その女の子の父親は、カリフォルニア州パロアルトでJobs氏一家と同じ通りに住んでいたという。
ある日、Smith氏が運転する古い「Sunbeam Alpine」がJobs氏の自宅前で故障した。
Jobs氏の妻であるLaureneさんが助けようと外に出てきた。彼女はSmith氏にビールを手渡し、古い車の修理のエキスパートだという友人に電話してくれた。
Smith氏は次のように書いている。「この時点で私は、これがどのように展開しようとすべて受け入れようと思った。私は、そこにいるのはシリコンバレーのエリートというだけでなく、普通の人たちであり、困っている男をただ手助けしているだけなのだと気づき始めた」
その「エキスパート」は大きな黒い車で現れた。その人物はタキシードを着ており、どこか華やかな場へ向かう途中であったのは明らかだった。
それからJobs氏が現れ、車のエンジンをかけようとした。Jobs氏もタキシードを着た友人もエンジンをかけることができなかった。
Jobs氏は、その車のことを「ぽんこつ」と言ったか?そのようなことを言ったようだ。Smith氏はJobs氏の家に招き入れられたが、同氏はその時、どこの家庭でもそうであるように衣類が散らかっている普通の場所だと思った。
Smith氏は、Jobs氏と同氏の妻、そして、友人が助けようとしてくれたことについて、いまだに驚いている。
「Steveは、メディアが描きたがるようなビジネス中毒でもデザインにおける独裁者でもない。そうなのかもしれないが、いつもそうなのではない。Jobs氏一家や友人は普通の良い人たちだった」とSmith氏は書いている。
もしかすると、この表現で最良の部分は「良い」ではなく「普通」という語にあるのかもしれない。
Jobs氏が尊敬されていたのは、単に同氏が実現化した製品によってではなく、自身の人間性にある種のリアリティがあったからだ。いかに素晴らしいセールスマンになりえたとしてもだ。
Jobs氏は夜遅くに顧客に電子メールを送ったり、厚かましく何かに関して気が変わったりということがあった。しかし、その一方で、同氏からは、スーツを着た型にはまった人間、つまり、株式報奨やマスティクに建った魅惑的な大邸宅のために自身の人生を犠牲するような企業人になりたくないという気持ちが溢れ出ていた。
Jobs氏は、現実的で人間的、そして、本質的に興味深い人生を生きたかった。そして、非常に多くの逸話は、Jobs氏が自身の欠点や長所もすべて含めてそうしてきたことを伝えている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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