Appleが最近、販売店の従業員の賃金を上げるなどの動きを見せているが、これはThe New York Timesが米国時間6月23日に掲載した記事に対する予備対策だったのだろうか?
The Los Angeles Timesは同日付の記事で、このことを示唆している。
「Apple's Retail Army, Long on Loyalty but Short on Pay(Appleの販売部隊、忠誠心は十分、賃金は不十分)」と題するThe New York Timesの記事では、Apple Storeの従業員の賃金を、歩合給のあるVerizon Wirelessなどの通信企業の場合と比較している。また、休憩時間のない超多忙な勤務状況やシフトを指摘し、従業員研修のややカルト的といえる雰囲気にも言及。さらにApple Storeで働きたがる20代の若者が、販売員のポジションにここまで熱狂的になる理由について考察している(同紙によると、多くはもともとApple信者で、また多くは「モノを売るのではなく、人生を向上させる手伝いをする」という目的意識を研修で植え付けられるからだという)。
The New York Timesは2012年初めから、Appleの製造拠点の海外移転からサプライヤー工場の労働条件、節税対策に至るまで、様々な側面にスポットライトを当ててきた。同紙がApple Storeの状況について取材を始めて数カ月後の先週、Appleは一部の従業員の賃金の大幅な引き上げを開始したという。
サンフランシスコの旗艦店の販売員であり労働運動家でもあるCory Moll氏は19日、時給で2.82ドルの昇給となる17.31ドルを提示されたという。昨年の昇給額49セントに対し、19.5%もの大幅アップだ。
ブログ「9 to 5 Mac」も5月下旬、Appleが昇給のタイミングを本来の9月30日から6月末に前倒しする予定だとする記事を掲載している。
もちろん、だからと言ってAppleのこのような動きが、The New York Timesの記事が掲載されるという情報に影響されたものだという証拠にはならない。実際、Los Angeles Timesが報じたApple Store従業員に対するMacとiPadの値引き(それぞれ500ドルと250ドル)は、2012年1月にTim Cook最高経営責任者(CEO)が約束していたことだ。この時はまだThe New York Timesは今回の記事のための取材を始めていなかったと思われる。
Appleは米CNETに対し、昇給を行ったことを認めた。
The New York Timesは、Apple Storeの従業員満足度に関する内部調査で特にGenius Bar(Apple Storeのサポート窓口)で働くジーニアス(技術者)の満足度が驚くほど低かったとし、Appleが取材を受ける代わりに発行したという書面を紹介している。
「数千人の極めて有能な専門家がGenius Barで働き、世界中で最高の顧客サービスを提供している。Geniusの平均年間定着率は90%近い。この比率は小売業界では前例がなく、彼らが顧客に対して、またAppleでのキャリアに対して、いかに一生懸命であるかを示すものだ」
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