ソニーは11月1日、2013年3月期第2四半期(2012年7月~9月)の連結決算を発表した。売上高は1兆6047億円(前年同期比1.9%増)、営業利益は303億円(同16億円の赤字)となった。液晶テレビの販売台数減により大幅な減収になったものの、2月に100%子会社化されたソニーモバイルのスマートフォンが販売台数を増加し、売上に結びついた。また営業利益では、デバイス部門、液晶テレビのコスト削減が貢献している。
売上増となったモバイル・プロダクツ&コミュニケーション(MP&C)分野では、PC「VAIO」が大幅な減収になったが、ソニーモバイルのスマートフォンが販売台数を増加し、売上高は3004億円(前年同期比112.1%増)となった。スマートフォンへ製品構成をシフトしたことによる平均単価の上昇も寄与しており、PCの減収を相殺した形だ。
ただし、営業損失は231億円(同61億円の赤字)と赤字幅を広げており、これはPCの減収の影響に加え、ソニーモバイルの100%子会社化に伴う無形固定資産償却費用の増加、支払いロイヤリティの調整などが影響しているという。
今回の決算を受けPCの年間売上見通しは、8月の見通し時点の920万台から850万台に下方修正、スマートフォンは3400万台のまま据え置いた。
執行役 EVP CFOの加藤優氏は「ソニーモバイルは100%子会社化してソニー流の事業へと組み替えをしている。そのためQ2は好調だったが、通期では利益が出るところまではいかないと見ている。ただ2013年度の黒字化にむけて利益をあげていきたい」と慎重な見方を示した。
一方、液晶テレビを有するホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野は、売上高が前年同期比25%減の2360億円となったが、営業損失は同418億円から、158億円へ赤字幅を縮小した。これは2011年11月に発表したテレビ収益改善プランにそって進めている液晶パネル関連費用や営業経費の削減によるもの。「液晶テレビに関しては、年間売上台数を8月見通しの1550万台から1450万台へと落としているが、収益改善策を打っている結果。損益には影響していない」と改善プランが順調に推移していることを強調した。
モバイルとともにコア事業に位置づけられるイメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)とゲームは、ともに減収減益。これはコンパクトデジタルカメラの大幅な売上台数減、「PS3」「PSP」の減収が原因とのこと。加藤氏は「『PlayStation Vita』が貢献したが、分野全体では減収となった。今後最大の商戦期に向け魅力的なソフト、アクセサリを拡充していきたい」と年末商戦への意欲を見せる。
「足元の感触は良い」としながらも、通期連結業績見通しは売上高を8月見通し時点の6兆8000億円から、6兆6000億円へ2000億円下方修正した。「マーケットを見ていくと成熟市場にはいいニュースがない。新興国や中国市場は、期待していたが、当初より下向いている。中国では日本製品の不買運動もあり、かなり慎重に見ている。2000億円の下方修正の内、中国関連の年間通しての損失額は300億円程度を見込む」とした。
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