Microsoftが2012年に「Surface」タブレットを発表したとき、Intelの幹部陣はショックを受けた。
MicrosoftはIntelに通知したり、助けを求めたりすることなく、自社ブランドのタブレット(Intelチップを採用した1機種を含む)の開発を始めた。Microsoftのほかの多くのパートナーと同様、IntelがSurfaceについて知ったのは発表イベントの直前だった。そしてIntelはその発表の場で、何の役割も果たさなかった。MicrosoftはライバルのAppleがしてきたのと同じように、独力で事をなす決断を下した。
その決定はMicrosoftとIntel(多くの業界人は両社をまとめてWintel同盟と呼ぶ)にとって、新たな領域を意味している。それはこの数年の間に明るみに出始め、広がり続けている両社間の亀裂の1つである。両社の長年の関係における緊張状態は、テクノロジ企業がモバイルの世界への移行を進める中で直面する圧力を浮き彫りにしており、その圧力は、居心地のよかった既存の関係から離れたり、新たな同盟関係を結んだりすることをテクノロジ企業に強いるものである。PC界の巨大企業であるIntelとMicrosoftは特別な難題に直面している。それは、自らが現在持っているテクノロジを廃らせることなく、新しい形態のコンピューティングに適応するというものだ。
Moor Insights & StrategyのプリンシパルアナリストであるPatrick Moorhead氏は、「2つの強力な企業が両方とも成長することでお互いを助け合える場合は、物事が非常にうまく進む。しかし、MicrosoftもIntelもモバイルで多くを成し遂げていない現在の状況では、亀裂が表れ始める。Microsoftは、Intelがプロセッサのワット数や価格を下げるための努力を十分に行っておらず、両社はモバイルの世界で目指す場所に到達できていない、と考えた」と述べた。
米国時間9月25日には、緊張状態の存在を示す最新の出来事が明るみに出た。Intelの最高経営責任者(CEO)であるPaul Otellini氏はその日、台湾での会議中に、Microsoftは準備が完全に整う前に「Windows 8」をリリースしようとしている、と社員に話した。Intelは26日に声明を発表し、Microsoftと「Windows」を支持していると繰り返し述べた。
「Windows 8はIntelにとってかつてないほど素晴らしいものの1つだ」とIntelは述べた。
Intelは当然、Microsoftを支持し続けるだろう。Windowsの新バージョンは、最新のIntelチップの需要を押し上げる。そしてそのおかげで、両社はそれぞれの分野を支配することができている。ただしこの数年間は、両社にとって困難に満ちた状況が続いている。
大半の問題はスマートフォンとタブレットに起因する。PCの成長が鈍化する中で、IntelとMicrosoftがモバイルデバイスに進出することは極めて重要だった。問題は、両社ともモバイルに関して大きな成果を上げることができていない、ということだ。
Gartnerによると、第2四半期に世界で販売された携帯電話のうち、Microsoftの「Windows Phone」を搭載するものはわずか2.7%だという。そしてIntelは携帯端末において勢いを増してきているものの、スマートフォンとタブレットに関して大きな影響力を持つには至っていない。同社がIntelチップ搭載携帯電話だと豪語できるのは、先般発表されたMotorolaの「RAZR i」を含む数機種のみだ。MicrosoftもIntelも、まだどうなるかは分からないと言うが、実際のところは両社ともいまだにライバルに大きな差を付けられている。
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